京都市の女子高校生（19）を誘拐したとして、滋賀県警は12日、未成年者誘拐の疑いで、同県守山市の無職入江公史郎容疑者（38）と、岐阜県関市の無職金城え夢（む）容疑者（21）を逮捕した。県警によると、女子高校生は入江容疑者宅で心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認されたが、13日に司法解剖の結果、死因が薬物中毒であることが分かった。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は現場を取材し、当サイトに対して事件のポイントを解説した。

　 逮捕容疑は11日午後3時45分ごろ、携帯電話で女子高校生を誘い出し、京都市内で合流した後、同日午後6時頃から入江容疑者宅のアパートに連れ込んだ疑い。入江容疑者は容疑を否認し、金城容疑者は容疑を認めているという。両容疑者はSNSで知り合って面識はあったが、女子高生については「SNSで知り合い、京都の自宅近くに車で迎えに行った。会うのは初めてだった」と供述しているという。

　女子高生は、滋賀県守山市の入江容疑者宅前のアパート通路で12日早朝に倒れているのが見つかり、金城容疑者が119番通報したが、心肺停止の状態で、死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は薬物中毒で、入江容疑者宅のごみの中から抗不安薬や睡眠導入剤など約100錠分の空き容器が発見された。県警が死亡の経緯を慎重に調べている。

　現場となったアパートは2階建てで、入江容疑者宅は1階であった。隣には畑が広がっており、亡くなった女子高生が倒れていた廊下側には捜査中の警察によってシートがかけられていた。

　小川氏は「19歳という年齢から、持病があれば別ですが、通常、突発的な自然死とは考えにくい。ご遺体に外傷がないため、司法解剖の結果が出るまで死因が気になりましたが、薬物中毒ということでした。問題は、亡くなった本人が自ら服用したのか、服用させられたのかどうか。服用した量はどのくらいか。また、誰が準備したのか。本人が自殺をしたいと話して自ら服用したとしても、この大量の抗不安薬や睡眠導入剤を容疑者が準備、用意したのであれば、自殺教唆になります。入江容疑者は容疑を否認し、金城容疑者は『誘拐』については認めても、それ以外のことは明らかになっていない。どのような状態で、どういうふうに服用したのか、服用させたのかが焦点になる。容疑者の2人も薬物を服用している可能性がありますから、尿鑑定等で詳細が明らかになるでしょう」と今後の動きを指摘した。

　また、女子高生の行動についても注目。小川氏は「19歳の女性がSNSで知り合って、同意をして、自らの意志で今回の容疑者宅に来ているわけですから、警察は容疑者の身柄を押さえるために、多少の無理はあったと思うが、苦肉の策として『未成年者誘拐容疑』ということで逮捕したのだと考えられます」と背景を分析した。

　さらに、同氏は「入江容疑者の家に、金城容疑者が女性を連れてきたのか、2人が共謀して部屋に連れてこようと企てたのか、いろんなパターンが考えられる。どんな薬物かということについても、警察は分かっていると思うが、まだ詳細な内容は発表していない段階です。司法解剖の結果を踏まえて、捜査が進められるでしょう」と今後の展開について説明した。