犬派の父が、あわや保健所に連れて行かれる子猫を保護 「こんな懐っこいのか」とメロメロに

■だれか、ごはんをください

ウィンくん(2歳・オス)は、兵庫県のとあるスーパーマーケットの搬入口で、手当たり次第に通りかかる人に擦り寄って助けを求めていた。お腹を空かせていたようだった。

2019年10月31日、何度も敷地内に入ってくるので、警備員さんが捕まえて「貰い手がいなければ保健所に連れていく」と言っていた。その店に勤めていた原田さんのお父さんは居ても立っても居られず、やや興奮気味に原田さんに「連れて帰ってもいいか?」と電話をかけてきた。

「相談したところでわたしがノーというわけがないのはわかっていたと思いますが(笑)」

■犬派だった父が、初めて猫を飼う

原田さんの家族はみんな動物好きだが、お父さんは昔から「猫はあまり好きになれない」と言っていた。そんなお父さんが「猫を連れて帰りたい」と言って電話をかけてきたことに原田さんは驚いたという。

「何がそうさせたのかと後で聞いてみると、手当たり次第人間に擦り寄っているのを見て、『こんな懐っこい猫がいるのか!』と、猫のイメージがガラッと変わったと言っていました」

そうして原田家に初めての猫がやってきた。突然の出来事だった。

原田家は、それまでいつも犬と暮らしてきた。ゴールデンレトリバー、チワワ、ブルドッグ、少しずつ時期をずらして家に来たので、犬のいない時期がなかった。

2019年5月、最後に飼っていたブルドッグが亡くなり、家の中がとても静かになった。

「『保護犬を迎えようか』と施設を訪ねたこともありましたが、良いご縁に巡り会えませんでした。そんな中、ウィンと出会いました」

■「ウィン」という名に、幸せ更新中

ハロウィンの日にやってきたので、ハロウィンの【ウィン】と、人生勝ち組、勝利の【ウィン】という意味を込めてウィンくんと名付けた。

「ハロウィンに黒猫!というのがなんだか出来すぎていて少し笑ってしまいました」

誕生日は獣医さんが、8月1日にしましょうと言った。

初めての猫だったので、最初は接し方もわからず、犬のように育てた。おかげでウィンくんは、お手やおすわりができるようになった。

「親バカですが『おはよう』も言ってくれます(笑)」

性格はとても寂しがりで、必ず誰かのいる部屋にいるが、家族以外の人にはビビる。

「先日姉が帰省してきた時、姉にビビってしまって棚の下に逃げ込んで出てこなくなったんです。でも、しばらくすると姉と私を間違えて姉の足にすりすり。見上げると私じゃなかったので『この人だれ!!』と言わんばかりの顔でその場で固まっていました(笑)その後は、開きなおったのか姉にも平気ですりすりしていました」

お父さんはウィンくんの「ごはんちょうだい」作戦にメロメロに。原田さんは、「猫ってポーカーフェイス」だと思っていたが、ウィンくんはとても表情豊か。そんなウィンくんが来てくれて、愛犬を亡くした寂しさで静まりかえっていた家が明るくなったという。子猫の命を救ったはずの原田家だが、逆に子猫に救われた、そんなふうに感じているそうだ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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