噛み癖が抜けなかった元野良猫 今はお膝猫でのどをゴロゴロ 「笑いが絶えない家族の一員です」
■野良の子猫
ちょぼちゃん(4歳・メス)は、東京都北区の、野良猫にとってあまり環境が良くない場所で暮らしていた。ボランティアは、先にちょぼちゃんの姉妹猫を保護して、その後ちょぼちゃんを見つけて保護したという。2017年3月のことだった。
ちょぼちゃんは子猫だったが、外の世界で生き抜くため何にでも噛み付いた。ボランティアもたびたび流血騒動に。しかし、世話をしていたら少しずつ人を信用するようになり、顔つきも穏やかになってきたので里親募集に踏み切ったという。
■全ての子を助けられるわけじゃない
東京都に住む石川さんは、うなぎちゃん、はなびちゃん、ゆーじろーくんという3匹の保護猫を飼っている大の猫好き。知人がFacebookでちょぼちゃんの里親募集情報をシェアをしているのを見た。
「ちょぼの写真を見てなんだか涙が出てしまいました。里親募集の記事は沢山見るし、命を預かるのだから全ての子を家族に迎えられるわけではないのは分かっていますが、写真を見ていてもたってもいられなくなり、数日悩んだのですが夫と相談し、保護主さんに連絡をとりました」
2017年4月8日、石川夫妻はちょぼちゃんに会うために保護主宅に行った。噛み癖がひどいと聞いていたが、夫が猫じゃらしをみせると大興奮!ずっと夫の周りを回りながら遊んでいて、人見知りのない元気な子だった。
「遊び疲れたのか主人の足にコテンと寄りかかって座ったのがとても可愛く、印象に残っています」
石川さんより前にお見合いに来た人がいたそうだが、生後3ケ月のちょぼを見て、もっと小さい子猫がいいと断ったそうだ。
「確かに3ケ月の女の子にしては身体がしっかりして大きかったのかもしれませんが、断ってくれたおかけでうちの子として迎えられました」
■猫大好き!遊ぼうよ!
2017年4月9日、保護主がちょぼちゃんを連れてきたが、緊張からかカゴのなかで下痢をしてしまった。着いてすぐではあったがお風呂で身体を洗うと、怯えることなく落ち着いて堂々としていたそうだ。
「気配に気づいた先住猫のうなぎがリビングにゆっくり出てくると、ちょぼは『猫がいた!』と喜んで走り寄り、うなぎの方がびっくりして走り出しました。ちょぼが追いかけてもうなぎは威嚇せず、すぐにちょぼの匂いチェックを済ませると戻っていきました」
お転婆のはなびちゃんは新入りちょぼちゃんにまずは「シャー!」だったが、すぐにお姉さんらしくちょぼちゃんの毛づくろいをしてあげたり、お世話をしたりした。ゆーじろーくんは来客のため隠れていたが、最初にちょぼちゃんの遊び相手になってくれた。
「ちょぼは、すでに8キロ近くあったゆーじろーに飛びかかりましたが、間もなくゆーじろーと一緒に寝るようになりました」
■血は繋がっていないが、縁あって家族に
しばらくすると、ちょぼちゃんのお腹に回虫がいることが分かった。
「朝猫トイレを掃除しようとしたら白いみみずのようなものがいて、はじめて回虫を見たのでびっくりしました。一度駆虫をしたのですがが、まだお腹にいたようで、数ヶ月後、また回虫が出てきました。不衛生なところで頑張って生きていたんだなぁと思いました」
噛み癖はなかなか治らず、石川さんも夫も手足に噛みつかれて流血が絶えなかった。しかし、うなぎちゃんたちに取っ組み合いを挑んでは怒られ、甘噛みの加減を学んだようで、今では全く噛まなくなったという。
とにかく猫じゃらしが大好きで、くわえて石川さんの足元持ってきて遊びに誘ってくる。うなぎちゃんとゆーじろーくんとはプ取っ組み合い、はなびちゃんとはスピード合戦の追いかけっこよくしている。
「はなびとゆーじろーも子猫期が終わり、少し落ち着いた頃に元気いっぱいのちょぼが来て、みんながお兄ちゃんお姉ちゃんになりました。ちょぼと遊んだり、一緒に寝るようになり、うちの中がますます賑やかになりました。我が家唯一のお膝猫で、私や主人の膝にとにかく乗ってゴロゴロ言いながら寝ています」
4にゃんのお世話をしているのは人間だが、実際は4にゃんに癒されている。毎日起きる色々な事件、ティッシュ一箱出され散乱、引き出しを開け鰹節強奪しリビングに散乱、障子ビリビリなどなど笑いが絶えない石川家。
「バラバラの場所で保護され、不思議なご縁で家族になった私たちですが、本当の子供のように毎日大切に大切に過ごしていきます」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)