猫の恩返し?「え、ウソでしょ?腫瘍が消えた…」 側溝で助けを求め大声で鳴いていた子猫を保護したら
■雨水に流されそうになっていた子猫
みぃちゃん(3歳・オス)は、2018年4月、愛知県に住む黒野夫妻に保護された。
雨降りの土曜日の夜だった。黒野さんは、たまたま仕事が休みだった夫とリビングでテレビを見ていた。すると夫が、「さっきからずっと外で猫が鳴いている」と言った。夫は動物が好きなので、いち早く気づいたようだった。しばらく様子を伺っていたが、休むことなく激しく鳴いていて、雨も強くなってきたので、夫妻はたまらず様子を見に行った。
すると、1匹の子猫が側溝に生えているわずかな草に身を寄せ、雨に流されないように必死に耐えていた。まだ生後1ヶ月くらいだった。「小さな身体なのに、ものすごく大きな力強い鳴き声で必死に助けを求めていて、もっと早く助けてあげれば良かったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました」。黒野さんは猫が大好きだが、飼うには抵抗があった。一人では助けられなかったかもしれないと思っている。
■フニュルル~フニュルル~
みぃちゃんを家に連れて帰ると、小さいながらもシャーシャーと威嚇してきた。「近寄るとプハっと臭い息を発して抵抗しました(笑)でも、ごはんもしっかり食べ、トイレも教えていないのにちゃんとできて、お利口な子だな、と感心しました」。パウチのウエットごはんをあげると、「フニュルル~フニュルル~(美味しいよ、美味しいよ)と言いながら上機嫌で食べたという。
「その姿は本当に可愛かったです。世の中にこんなに美味しい食べ物があるんだ~と、始めての味に感動したのでしょうね。でも、それ以降一度もフニュルル~という声は聞けていません」。夫妻は、このまま外に帰すのは危険だと思い、母猫も見当たらなかったので、みぃちゃんを“うちの子”にした。
■噛まれても引っ掻かれても
みぃちゃんは、よく夫妻を咬んだり、引っ掻いたりした。「傷だらけの毎日でした。甘噛みの加減も分からなかったのでしょう。後に2匹目となる猫、ちょろスケを迎えてから、咬むことも爪を出して引っ掻くことも加減できるようになって、ホッとしています」。夫妻は初めて猫を飼ったので、ほとんど猫に関する知識がなく、毎日お風呂にいれてドライヤーで乾かしたり、一緒に寝ると潰してしまいそうだったので別室のケージで寝かせたりした。
「かわいそうなことばかりさせてしまったせいか、構われるのが嫌いな子になってしまいました」。みぃちゃんは触られるのも大嫌い。なでられるとそこをペロペロと“修整”する。「唯一眠い時だけ触るチャンスがありますが、タイムオーバーだとガブられます」。性格は、無口で短気。あまり鳴かないという。唯一、「お腹が空いたよぉ~」とアピールする時だけは、黒野さんの目を見て、「エアームニャムニャ」をして、ペロッと舌舐めずりする。
「食べるのが大好きで、2階の食器棚にごはんとオヤツがしまってあるのですが、みぃちゃんが周りにいないのを確認して扉をそーぉっと開けたのに、振り返るとそこにいるんです(笑)もしや瞬間移動できる?!」
■みぃちゃんは魔法使い?
夫妻は猫たちが快適に暮らせるように、猫最優先の生活をしている。嚙まれようが、吠えられようが、叩かれようが世話してあげる。「それが今や私の幸せでもあるんです」と黒野さんは言う。
黒野さんはみぃちゃんと出会うひと月くらい前、2018年3月に左腕に良性腫瘍(神経鞘腫)ができた。痛みも増し、大きくなってきたので、5月に手術することになっていた。「ところが、みぃちゃんを迎えてから、どんどん腫瘍が小さくなり、なんと消えちゃったんです。え、ウソでしょ?こんなことあるの?と。まさかの出来事に、本当にビックリしました」
■「雨の中助けたお礼なのかも…」
黒野さんは、不思議なパワーを持つみぃちゃんのことを、「本当は魔法使いなのかもしれない」と思っている。「私の腫瘍が治ったのは、絶対にみぃのおかげだと信じています。ありがとう、みぃちゃん」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)