飼い主が見つからなかった子猫 長崎→東京へ空の旅、食が細かったが元気ないたずらっ子に

■野良の母猫と子猫たち

ベスちゃん(生後5ヶ月・メス)は、2021年7月、野良猫のビビちゃんが産んだ子だった。長崎県に住むSさんは何度かビビちゃんが出産したのを知っていたが、どこで産んでどこに子猫がいるのか分からなかった。しかし、ベスちゃんを産んだ時は、5匹の子猫をくわえて連れてきたので見守ることができたという。

Sさんは自宅で飲食店を営んでいたので、家の中にビビちゃんや子猫たちを入れることはできなかったが、毎日ごはんをあげるために会いに行った。8月下旬、里親を募集するためにジモティーに掲載したのだが、なかなか里親が決まらず1匹だけ譲渡できた。その後、「ながさき犬猫ネット」という県のサイトに掲載すると、長崎県動物管理所でボランティアをしているOさんから「お手伝いしましょうか」と声をかけられた。

4匹の子猫たちはOさんやOさんが協力を求めた県外のボランティアの力を借りて譲渡した。その中の1匹がベスちゃんだった。母猫のビビちゃんは、Sさんとボランティアが協力して不妊手術をして、地域猫として幸せに暮らしているという。

■美しいサビ模様の子猫

東京都に住むMさんは、以前はペット不可のマンションに住んでいたが、少しでも動物保護に貢献できればと思い、保護団体に寄付をしていた。同棲する時にペットを飼える新居に引っ越して、保護猫を迎えようと思ったという。

譲渡してもらうなら個性溢れる柄のサビ猫にしようと決めていた。あるシェルターに一度行ったが、同棲カップルだったので断られた。その後、譲渡サイトを見ていると、生後2ヶ月のベスちゃんが掲載されていたそうだ。

「いろんな柄がちりばめられた美しいサビ模様と、小さいながら何か訴えかけるような瞳が印象的で、この子をぜひ受け入れたいと思い、すぐに申し込みをしました」

■食べなければ生きられない

長崎県から東京都まで空輸で受け渡しすることになり、Mさんは空港へ迎えに行った。空港でベスちゃんを受け取ると、ケージの隅っこに隠れていたが、威嚇するようなこともなく大人しかった。

名前は、豪華な模様のベスちゃんを見た時にふと思い浮かんだ名前がエリザベスだったので、ベスちゃんにしたという。

家に着くとすぐにご飯を食べたが、夜になると不安になったのか夜通し鳴いていた。一度もトイレをしなかったので翌日に動物病院に連れていくと、食が細く、月齢の割に身体がかなり小さいので、頑張って食べないと生きていくのは厳しいと言われた。

「来た途端にそんな状態だったのでとても心配しましたが、それからよく食べ、よく遊び、よく寝るようになり、少しずつ大きくなっていきました」

先住猫は、最初はとても警戒してストレスを感じているようだったが、少しずつ距離を縮めているという。

「ベスは先住猫のことが大好きで、毎日追いかけたり、身振りを真似したり、日々社会勉強をしているようです」

■何をしても可愛い

ベスちゃんは、最初は大人しかったが、今はとにかく元気でいろんなことに興味津々。いたずらをすると、「まずい!」と思うのか、Mさんの顔を見ると一目散に逃げていく。

「一度もシャーと威嚇したり怒ったりしたことがないのですが、掃除機だけは怖いようで、ちっちゃい体で精一杯シャーと威嚇してきます。いっぱい遊んだあと、突然ころっと寝ちゃうところも可愛いです」

小柄な身体で、育つかどうか心配していた子なので、Mさんは、ベスちゃんが日々成長するのを見るだけで幸せな気持ちになれると言う。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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