おなかに病と闘う“証”キラリ…神戸のパンダが観覧再開「まん丸笑顔」にホッ おうち時間充実へスタッフも奮闘

 「久しぶりに皆さんにたんたんさんをお見せすることができとても嬉しいです。体調管理を最優先に観覧を行うためご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが…」。心臓疾患の治療や検査などを優先させるため11月下旬から観覧を休止していた神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(26歳メス)。ツイート画面でしか会えなくなって3週間、再び会えることになりました。再会を待ち望んでいたファンですが、発表時に伝えられた「酸素供給装置」の文字が気になり、「大丈夫?」「無理はしないで」と戸惑う声も聞こえてきました。タンタンの様子を獣医師で飼育展示係長の谷口さんに聞きました。

■食べて寝る、寝る寝る…「いつもの」姿にホッ

 タンタンは今春に心臓疾患の疑いが公表され治療が続いています。体調管理優先のため観覧時間は少しずつ短縮され、急きょ観覧中止になった日も。今回の観覧再開では午前11時から午後1時に短縮、土日祝日の事前申込みが不要に。入れ替え方式から「歩きながら観覧」に変わりました。12月14日の再開日は、開始前から長い列ができたものの並べばすぐに何度でも観覧でき、体調を心配しながら集まった人たちもタンタンの「食べて寝る、寝る寝る」といういつもの姿を見てホッとひと安心だったようです。

-公式発表で「酸素供給装置がある寝室側の扉を開放し、観覧室内の酸素濃度を高めている」と。タンタンはしんどくないのでしょうか

「この装置は、今後、体調が悪化した場合に備えて設置したものなのですが、循環不全の体への影響がなるべく少なくなるように使用しています。時間も短縮してタンタンの負担にならないよう配慮し、健康管理の状況に応じて再度、観覧中止とする場合もあります」

-11月22日から3週間、観覧休止に。この決定をした時のタンタンの様子は?

「健康管理のためのトレーニングルームに入らない日が続き、体調を把握するために必要な検査や、体調管理のために腹部から水分を抜く処置などが困難な時期があり、『体調管理ができない状態が続けば、悪化する可能性もある』と判断し、タンタンのペースで健康管理に集中するため観覧休止を決めました。タンタンのペースに合わせた健康管理ができたので、休止中のタンタンはゆっくり過ごせていたと思います」

■大学や中国から助言受け治療「痛み感じないように」

 -体液を抜く治療は定期的に?痛みは注射程度だといいのですが… 

「ハズバンダリートレーニング下で『ステイ』の指示を出し、リンゴなどで動かないようにしている間に、タンタンが痛みを感じることがないように処置しています。今後も投薬治療に取り組みながら、水分が溜まる傾向が続いた場合に補完的に処置する予定です」

-心臓疾患になったパンダの治療例は? 専門家や、中国からのアドバイスもあるのでしょうか

「大阪府立大学獣医臨床センターの島村先生と、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの獣医師の先生方に助言をいただきながら取り組んでいます。パンダの心臓疾患の報告はいくつかあり、それらの症例や、他の動物での治療例等も参考にしています」

 -外の展示場との出入り口に新たに格子状の扉が設置されていました。もう外には出ない?

「屋外への放飼は、体調を考慮して寒い時期には控えているところで、今後は気候や体調を踏まえて検討していきます。格子の扉は、屋内にいるときも日光浴をしたり、外の風を浴びたりできるように設置しました」

 2021年はコロナ禍による臨時閉園などに加え、タンタンは病気判明や治療が続き波乱の年でした。「病気について報告する度に、非常に多くの方から温かい励ましのメッセージをいただき、タンタンがいかに皆様に愛されているかを実感しました」と谷口さん。

「新年を迎えるにあたっても、引き続きタンタンが体調を維持して穏やかに過ごせるよう、タンタンファーストで健康管理に取り組んでまいりますので、今後とも皆様の温かい応援を頂ければ幸いです」

◇  ◇

神戸新聞と神戸TVの公式YouTubeチャンネルでは、12月25日午後6時から「神戸新聞フェス2021」をライブ配信。午後9~10時には王子動物園の園長や飼育員とともにタンタンの2021年をたっぷりの動画で振り返ります。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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