放っておけなかった捨て猫の兄弟…「やっぱり一匹だけ引き取ろう」 ヤンチャで物怖じしない「お散歩する猫」に成長
小春ちゃんは、2019年9月15日、ダンボール箱に入れて捨てられていた。その日は茨城県石岡市のお祭りの日だった。千葉県に住む森本さん夫妻は、そのお祭りに行く前に、石岡市にある常陸風土記の丘に立ち寄ることにした。案内所まで行くと、3人くらいの子供たちが何やら箱の中をのぞいていた。
「『もしかして捨て猫?』と思いながら近づくと、やはり子猫の鳴き声がしたんです」
子供たちが「小さい猫がいるんだよ!可愛いんだよ!」と言うので、のぞいてみると茶トラの小さな子猫が4匹いた。
「抱き上げてお尻を見てみると、ザワザワザワと小さな虫が体の方へ移動したのが見えました。みんなノミだらけでした」
■既に3匹の猫がいたが…
箱の中にはミルクの入ったお皿が置いてあったが、飲んでいないようだった。
「心配だったのですが、我が家には既に3匹の猫がいるので、これ以上増やすのは無理だと、自分に言い聞かせてその場を離れました」
その後、夫妻はお祭りの会場に移動した。お祭りはたくさんの人で賑わい、獅子舞が舞い、楽しい雰囲気だったが、頭から子猫たちのことが離れなかった。
「お祭りを楽しもうとしても心ここに在らず。『やっぱり戻って一匹だけ引き取ろう』と夫が言ってくれたので、もう一度風土記の丘に行ったんです」
案内所の前にはまだダンボール箱が置いてあった。中をのぞくと子猫は3匹になっていた。夫妻は2匹になっていたら2匹とも連れ帰ろうと思っていたが、3匹だったのでその中で一番小さい子猫を連れ帰ったという。
置いたあったミルクは全く飲んでいなかったので、夫妻は帰り道にホームセンターに立ち寄って子猫用のミルクと哺乳瓶、パウチのフードなどを買って帰った。帰宅後すぐにミルクを作って哺乳瓶で飲ませたら、かなりお腹が空いていたようであっという間に飲み干した。
■先住猫たちと元気に過ごして
名前は楽しくワクワクした猫生を送ってほしいと思ったので、秋に出会ったが「小春(こはる)ちゃん」と名付けた。
翌日病院に連れていきノミを取り除く処置をしてもらい、2日くらい隔離した後、先住猫たちと対面させた。先住の猫たちは怖がって、2日間くらい「シャーッ!」としていたが、その後受け入れた。
「当時うちには7才、8才、12才の猫がいて、みんな穏やかに暮らしていたんです。でも、小春はとにかくヤンチャで、先住猫がそばを通っただけで飛びついたり、噛んだりするので、先住猫たちは毎日『シャーッ!』と言いっぱなしでした」
森本さんは、少し先住の猫たちを休ませてあげようと、小春ちゃんを連れて外に出かけるようになった。
「小春はどこに行っても場所や人を怖がることなく、お洋服を着てお散歩しています。最近増えてきたとはいえ、猫のお散歩はまだまだ珍しいので、小春の周りに人だかりができて、カメラやスマホが向けられます」
これからも先住猫たちと元気に過ごしてほしいと、森本さんは思っている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)