保護された猫を迎えてから、夫のことを「お父ちゃん」と呼ぶように まるで子どもを授かったよう

あずきちゃん(1歳・オス)は、2020年12月、福島県で、個人で猫の保護活動をしている夫婦に保護された。夫婦は、庭で野良猫が子猫を4匹産んだのですぐに保護したという。母猫も保護しようとしたが、捕まえられなかった。それまでも子猫を保護すると、飼い猫が母猫のように世話をした。あずきちゃんも、いつもその猫のそばで寝ていたそうだ。子猫たちはすくすく育ち、夫婦はジモティの掲示板で里親を募集した。

■人懐っこいが、不安でニャーニャー鳴く

千葉県に住む原田さんは、ふーちゃん(メス)とモコちゃん(オス)という猫を飼っていて、まだ若いモコちゃんの遊び相手になってくれる猫を迎えたいと思い、ネットで探していた。モコちゃんがオス猫だったので、オス猫を迎えたいと思っていたが、猫の種類にはこだわらなかったという。

「たまたまジモティであずきを見て、夫婦揃って一目惚れしてしまい、絶対この子を迎えたいと思い、保護主さんに猛アピールしました」

生後4カ月の頃、原田さんは保護主のところにあずきちゃんを迎えに行った。その地域には野良猫が多く、保護主の家の近くで数匹の野良猫たちが横たわっていて、餌やりの女性がごはんをあげていた。猫たちは人に慣れているようだった。

あずきちゃんは子猫の頃からボランティアに可愛がって育てられたので、すっかり人に慣れていて、全く物おじすることがなかった。原田さんは、小一時間ほど話しながらあずきちゃんと触れ合い、一緒に車で自宅に向かった。

車の中であずきちゃんは、不安だったのか「ニャーニャー」鳴いていた。原田さんは、かわいそうになり、後部座席であずきちゃんの隣に座り、ずっと撫でてあげた。

「1時間ほどすると鳴きやみすやすやと眠ってくれました。それから車で約2時間、合計3時間ほどかけてやっと自宅に到着しました」

■先住猫、子猫にびびる

先住猫たちは2階にいたので、夫妻はあずきちゃんを1階で自由にさせ、見守りながら家の中を探検させた。

「猫じゃらしのおもちゃで遊んで家に慣れさせようとしたのですが、さすがに初日は落ち着かなかったようで、ニャーニャー鳴くこともありました」

ゲージに入れて布を被せると、あずきちゃんの鳴き声に気づいた先住猫たちがビクビクしながら近寄ってきた。しかし、少し布をずらして中が見えるようにすると、怖がって逃げてしまった。

名前は、夫があんこ好きだったので、「あんこ」はどうかと言われたが、原田さんが「あずき」の方が可愛いと思い、毛色もあずき色っぽかったのであずきちゃんにしたそうだ。

■可愛い挨拶をするように

あずきちゃんはとてもヤンチャで遊ぶのが大好き。よくおしゃべりするという。

最近あずきちゃんは、可愛い挨拶をするようになった。

「朝起きた時や昼寝から起きた時、私がちょっと出かけていて帰ってきた時など、前脚を私の足にかけて、グーっと伸びをするように、2歩3歩登ってくるんです。挨拶してくれると思ったら、じっと立ち止まって待つようにしています」

原田さんは、ちょっとした買い物に行く時にも、あずきちゃんを車で連れて行った。そのため、あずきちゃんはすっかりドライブが好きになった。

「夜に主人を迎え行く時、『あずきも行く?』と声をかけると、進んで玄関に向かうんです。車に乗っている時はご機嫌で、喉をゴロゴロ鳴らしています」

先住猫は原田さんが独身の時から飼っていた猫なので、どちらかというとお母さんっ子だ。しかし、あずきちゃんはいつも人がいるところにいて、夫にも懐いている。原田さんは先住猫に対して自分のことを「お母ちゃん」と言っていたが、あずきちゃんを迎えて夫のことも「お父ちゃん」と呼ぶようになり、まるで子どもを授かったような気持ちでいるという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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