精肉トレーの“なんちゃってパセリ“はなんのため?おしゃれにも通じる補色のメカニズム

「最近大変疑問に思っておるんだが…誰が求めてるの?」。とあるTwitterユーザーが画像とともにこんな疑問を発しました。お肉のトレーにパセリが添えられていますが、よくよく見るとパセリがプリントされたフィルム。テイクアウトのお寿司やお弁当に使われるプラスチックの仕切り(バラン)のような存在なのでしょうか。

まずはバランについて。バランはハラン(葉蘭)という植物の名前に由来します。庭の下草(地面をいろどるために植える草)として使われる植物で、ササの葉状の大きな葉が特徴です。古くからさまざまな食材の盛り付けや仕切りに使われていました。お寿司に使われているのは、仕切り以外に「飾り」として重視されたためで、「笹切り」「葉蘭切り」と呼ばれる技は、盛り付けの際にアクセントとして家紋や魚の形、文字の形に切り抜くものです。

 では、精肉トレーのパセリフィルムは何のため?食品包装資材の通販サイト「容器スタイル」を運営する折兼HD(名古屋市)に聞きました。

ー「グルメシート パセリ丸」という商品名なんですね

「お弁当や食品に彩りを添え、食材を引き立たせるデザインの消耗品です。材質はポリプロピレンで、熱・油・タレにも強く変色の心配が無く、生葉と違って水切り・もぎりの下準備が不要でコストを抑えられます。グルメシート全商品には環境対応のバイオマスインキを使っています」

ー見栄え以外の理由はあるのでしょうか

「食欲と購買意欲を高める効果を期待しています。お肉の色の赤とパセリ丸の緑は補色となります。 補色対比によって肉の赤みが強調され、肉の鮮度をより高く感じられる効果があるといわれています」

補色とは、色相(色の相違)を順序立てて円形に並べた色相環で、正反対に位置する色の組み合わせを指します。例えば、黄色の正反対に位置するのは青紫であり、黄色と青紫は補色の関係にあります。補色の関係にある色同士を並べて置くと、より彩度が高くなったように強調されるのが補色対比です。精肉売り場のショーケースには、緑色のマットが敷きつめられていることが多いのは、補色対比によって肉の赤みが強調され、肉の鮮度が高く感じられるためとされています。

色相環は、食品の見栄えだけでなく、ファッションやインテリア、デザインの世界で配色を考える上でも欠かせません。色相環上の対極にある色同士はお互いを引き立て合う、つまり「似合う」とされています。グリーンを基調に赤でアクセントを加えてみるファッションはそうした考えに基づくものです。

サイトに展開されているグルメシートは、抗菌性を持たせたもの、パセリとトマトがプリントされたもののほか、バジル、大葉、桧葉、もみじ、レモン付きグリーンリーフなど多彩なシリーズになっています。折兼HDの担当者は「精肉、鮮魚だけでなく、惣菜、お弁当など使用されるシーンは増えています。コロナ禍で飲食店のテイクアウトが増えたことから、グルメシートだけでなく、持ち帰り用のパッケージの需要が高まりました」と話しています。

(まいどなニュース・竹内 章)

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