風邪をひいていた公園の捨て猫 気性は荒いけど甘えん坊 「噛み癖に悩んだ時期もありました」

■公園に捨てられていた子猫たち

柚子ちゃん(7歳・メス)は、2014年4月、大阪府のとある公園に捨てられていた。ダンボール箱に生後1ヶ月にもならない子猫が4匹入っていたという。本来なら可愛い盛りのはずだが、猫風邪をひいていて目も鼻もぐちゃぐちゃで、お世辞にも可愛いとは言えなかった。

大阪府に住むFさんは、猫の預かりボランティアのところに柚子ちゃん達がいると知人のボランティアに聞き、柚子ちゃんを迎えることにした。全員迎えたかったが、先住猫が3匹いたので愛情をみんなに注げなくなる心配があったという。その後、他の兄弟たちも、それぞれ他の里親が見つかった。

■噛み癖が悩み

家に来た時の柚子ちゃんの体重はわずか300g、猫風邪で目も鼻もぐちゃぐちゃで、子猫の愛くるしさが感じられなかった。Fさんは柚子ちゃんを隔離したが、先住猫の左之助くん、迅くん、雛ちゃんに感染してしまった。

「完全に私の責任で、先住の子達に大変な思いをさせてしまいました」

乳飲み子だったので、毎日2、3時間起きてミルクを与えた。夜中になると「ミィミィ」ずっと鳴くので、ゲージから出すとFさんにぴったりくっついて寝た。

「そのまま寝ると私が寝てしまって下敷きにしてしまう可能性があったので、ゲージに戻して、また鳴くという繰り返しでした」

ある日、寝返りをしたらどうなるんだろうと、踏まない程度に寝返りをしてみると1kgに満たない小さな柚子ちゃんは、一緒にちゃんと移動していた。そんな可愛い柚子ちゃんだったが、ある程度大きくなってくると今度は尋常ではない噛み癖で悩まされるようになった。

「本当に何をしても噛むのです。抱っこしても、撫でても柚子に触れることができないくらいに噛むのです。気性が荒いとされているお三毛様だからなのか柚子の性格なのかはわかりません…」

先住だった左之助くんと迅くんが柚子ちゃんに優しくしすぎたのと、雛ちゃんは猫が大嫌いなので柚子ちゃんに近寄りもせず、「噛まれたら痛い」ということを学ばなかったのも一つの理由かもしれない。

■ボヤき魔、手を焼いたけどいい子に

柚子ちゃんは一言で言うと“ボヤき魔”。

「爪切りや抱っこなど、自分が嫌なことをされると『ゔーゔー』うなります。私には『シャー』したり噛んだりすることはあまりないのですが、夫には気に入らないとすぐに怒ります。そんな様子を見ていると“女子”だなあ、とつくづく思います。ただ、強気だけど、甘えん坊になる時もあって、そのギャップがたまらなく可愛いんです」

強気な柚子ちゃんでも猫嫌いの先住猫、雛ちゃんは怖い存在のようで、ものすごく気を使って、一定の距離感を保って生活している。大好きだった左之助くんが亡くなり、その後は迅くんにべったりだったが、その迅くんも亡くなり、今は年下の琥太郎くんと仲良くしているそうだ。

柚子ちゃんは、今まで保護した猫の中で一番小さく、気性が荒いところなど、Fさんは初めての経験になることが多かった。

「数々動物と暮らしてきましたが、柚子の噛み癖は本当にどうしようかと悩んだ時期もあります。でも、愛情を注ぎ続けると必ず伝わるというのは間違いではありませんでした。今でも気は強いしボヤき魔ですが、すごくいい子に育ちました」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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