駐車場ですり寄ってきたボロボロの子猫を保護 食いしん坊でいたずら好きな様子に毎日大笑い
■駐車場にいたボロボロの子猫
ニコちゃん(1歳3ヶ月・メス)は、2020年11月19日の午後、千葉県に住む早川さんに保護された。早川さんは普段は社内で勤務しているが、この日はたまたま外出していて、会社に戻ってきたところ、駐車場でニコちゃんを見つけたという。
ニコちゃんはよろよろと歩いていた。弱々しく鳴きながら早川さんの方に近づいてきた。
「見た目は汚く、顔もひどい状態。猫を保護したことがなかったので、どうしたらいいのか分からず、すぐに手を差し伸べることができませんでした。でも、このまま放っておいたら交通量が多い道路の方へ行ってしまう、空にはカラスも飛んでいる。私が今この子を助けなかったら!と思ったら、保護せずにはいられませんでした」
■見えないままかもしれない
早川さんがニコちゃんと出会う前から、夫は「猫を飼いたい!」とよく言っていた。早川さんもいつか猫と暮らしたいと思っていたが、夫には「今じゃない。まだ早い!」と言い続けてきた。
「結局、私の方が子猫を連れて帰ってしまうことになるは思ってもいませんでした(笑)」
ニコちゃんは、とても人懐っこくて、保護するとすぐに早川さんの足に何度も何度も飛びついてきた。早川さんはひとまず会社にあった大きめの段ボールにニコちゃんを入れた。
「さっきまでよろよろ歩いていたのが嘘のように、ぴょんぴょんと飛んでいて、箱から飛び出すんじゃないかと思うくらい元気でした」
ニコちゃんは、溝のようなところに落ちてしまったのか泥まみれ、臭いもすごかった。猫風邪をひいていて、目も鼻もぐじゅぐじゅだった。すぐに動物病院に連れて行くと、体中にノミ、ハエの卵がついていた。
「『もしかしたら右目が潰れていて、このまま見えないままかも・・・』と言われ、とてもショックでした。『命があるだけいいよね』と思いながらも、今後のことを思うと不安になりました」
■保護したのは間違いだった?
保護した日の夜、ニコちゃんは不安そうにニャーニャー鳴きながら家中を歩き続けた。突然知らない家に連れてこられて、母猫とも離れ離れになったニコちゃん。
「『寂しいよね、やっぱり保護したのは間違いだったのかな?』とも思ったのですが、足の上に乗ってきてすやすや眠る姿は可愛くて、嬉しかったです」
ニコちゃんは、2日間ごはんを食べず、3日目にやっと自分から食べてくれた。みるみる元気になって走ったり、おもちゃで遊んだり、できることが一つずつ増えていき、毎日が感動だったという。
早川さんは、右目が少しでも良くなることを願って、一日数回の点眼薬を何ヶ月か続けました。その甲斐あって、少しずつ右目もきれいになってきたという。
「獣医さんに『右目もちゃんと見えている』と言ってもらえたときは、諦めないで良かったー!と、心の中でガッツポーズをしました(笑)」
右目の曇りはすこし残っているが、早川さんはもちろん、ニコちゃんも全然気にしていないようだ。
■「よっこらしょ、よっこらしょ」
ニコちゃんは、ものすごく食いしん坊。早朝から「ご飯ちょーだい!」と、早川さんの顔をペロペロ舐めて起こしにかかり、お昼のチャイムが鳴ると、再び「ご飯ちょーだい!」とにゃーにゃー騒ぎ出す。人間のごはんにも興味津々で、冷蔵庫を開ける音や袋をガサガサする音に反応。遠くから猛ダッシュしてきて、「ご飯ちょうだい」アピールが始まるという。
以前、夫婦でちょっと良いお肉を食べていた時のこと。ニコちゃんはそのお肉が気になって仕方がないようだった。
「ニコを気にしながら食べていたのですが、ほんの一瞬目を離したスキにお皿からお肉をサッとくわえて走り出したんです。追いかける私達と家中逃げ回るニコ。まさに泥棒猫!一瞬の出来事に驚きつつ、大笑いしました(笑)」
イタズラ好きのやんちゃさんで、「あれ、静かだな?何してるのかな?」と思うと、たいていイタズラをしている。最近のお気に入りは早川さんの靴。気づくと2階に早川さんの靴が転がっている。こっそりニコちゃんの様子を見ていると、器用に下駄箱から靴を引っ張り出して、1階の玄関から2階までせっせとくわえて運んでいたという。
「『よっこらしょ、よっこらしょ』と声が聞こえてきそうでした(笑)」
ニコちゃんを迎えて毎日が楽しくなったという早川さん。
「もし私が外出しなかったら?その時間に帰ってこなかったら?私の方に近づいてきてくれなかったら?本当にタイミングが良く、奇跡のような出会いだったなぁと、今ものすごく思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)