気の強い女子猫2匹に迎えた子猫 しつこく後追いし粘り勝ち、認めてもらいハイテンションな毎日
■女子猫同士の張り詰めた空気
琥太郎(こたろう)くん(2歳・オス)は、民家の軒先で野良猫が産んだ子猫だった。住人がボランティアに依頼して保護された。
生後4ヶ月になった頃、琥太郎くんは譲渡サイトで里親を募集した。
大阪府に住む藤田夫妻は、可愛がっていた猫の迅くんをがんで亡くし、悲しみからなかなか立ち直れずにいた。家には雛ちゃんと柚子ちゃんという女の子の三毛猫がいたが、猫嫌いの雛ちゃんが柚子ちゃんを嫌って寄せ付けず、いつも緊張感漂う感じだったという。
「決して仲良しとは言えず、微妙な距離感。その空気を中和させてくれる猫がいたらいいなと思っていました」
そろそろ保護猫を迎えようと夫婦で譲渡サイトを見ていた時に出てきたのが、迅くんに似ていた琥太郎くんだったという。
■手作りごはん、美味しいにゃ~
藤田さんは、琥太郎くんを見た時、「この子だ!」と思い、すぐに問い合わせをした。
「迅の替わりのように迎え入れるのは、この子に失礼なのかもしれない、代わりだったら他の子でもいいのか?など葛藤しましたが、琥太郎も困っているのだから迎え入れることにしました」
藤田さんは琥太郎くんを迎えて気づいたのだが、当然、雛ちゃんも柚子ちゃんも琥太郎くんもみんな性格は違う。
「迅の代わりというのではなく、みんなどの子も個性があって可愛い。琥太郎は琥太郎なんだと思った時に、あの葛藤は取り越し苦労だったと思いました」
家に来た時、琥太郎くんは体重1kgくらいでちょっと痩せ気味だった。初日はすごく不安そうに鳴いていた。翌朝、預かりボランティアからもらったドライフードを与えても食べないので心配したが、先住猫の雛ちゃんと柚子ちゃんの手作りごはんを与えてみると「がっつがっつ」食べたという。
「急に慣れない食べ物を与えるのは良くないのですが、そのまま何も問題なく先住の子達と同じ食事を食べるようになりました。それからというものどんどん肉がつき、今では理想的な体型になりました」
琥太郎くんは、「ごはんも美味しいし、快適な場所」だと思ったのか、すぐに藤田家に慣れた。
■優チキン野郎
一番の問題は、気難しい先住猫達と折り合いをつけることだった。予想通り、雛ちゃんにはめちゃくちゃ嫌われた。藤田さんは、柚子ちゃんも気が強いのでダメかと思ったが、琥太郎くんが粘り勝ちした。
「ねばったつもりはないと思いますが、『お姉ちゃーん』と言わんばかりに
いつも柚子について歩き、真似ばかりしていました。すると、だんだん柚子は琥太郎の面倒を見るようになりました。柚子は、仲良しだった迅が亡くなり、雛には甘えられず、ずっと寂しい思いをしていたのかもしれません」
ただ、琥太郎くんが藤田家の一員になってから2年が経つが、雛ちゃんにはまだ認められていないという。
琥太郎くんは、一言で言えば“優チキン野郎”。ピンポーンとインターフォンが鳴ると、ほふく前進の猛ダッシュでベッドの下へ逃げこむ。琥太郎くんがウトウトしている時に撫でようとして触ると、びっくりして声を上げることもある。
一番困るのは“トイレハイ”がとてつもなくハイなこと。排便の前後になんとも表現が難しい雄叫びを上げながら家中猛ダッシュして、あちらこちらにどかんどかんぶつかる。
「まるで酔っ払いが暴れているかのようです。いつも夜中でうるさいのもありますが、危ないので本当にやめて欲しいのです。2年経ってもやめる様子はありません」
藤田夫妻にとって琥太郎くんは、「めちゃくちゃいいキャラで愛嬌のある子」だが、雛ちゃんにとってはうっとうしい存在以外の何者でもないようなのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)