見た目で選んだ同居猫は、優しくて甘えん坊 険悪だった先住猫との距離も少しずつ縮める
文吉くん(3歳・オス)は、2018年6月生。生まれたその日に警察に保護され、保護団体「NPO法人 どうぶつの福祉を考える会」に連絡が入って引き取られた。
2019年5月、神奈川県に住むMさんは、譲渡サイトで見つけた茶太郎くんという茶白の猫を保護団体から譲渡してもらうことになっていた。イギリスでホームステイしていた時、ステイ先に2匹の猫がいたので、「日本に帰ったら保護猫と暮らしたい。2匹の猫を迎えよう」と思っていたという。平日は仕事で留守にするので、1歳以上の猫を譲渡サイトで探したそうだ。
「本当は茶太郎と同じ団体からもう1匹引き取るつもりだったのですが、当時、希望に合う子がいなかったんです。キジ柄の雄猫で、できれば茶太郎と同じくらいの年齢の猫が良かったので、譲渡サイトで探しました」
Mさんは、茶太郎くんを引き取ってからあまり間を空けない方がいいと思い、何匹か同時にお見合いを申し込んだ。最初に申し込んだ猫は、臆病で部屋の隅に隠れてしまうので、そのままボランティアが飼うことになったと断られた。次に候補に上がったのが文吉くんだった。5月末、事前に会うことはなかったが、茶太郎くんを迎えた2日後にトライアルが始まった。
■相性優先ではなく、見た目で選んでしまった
文吉くんは、初日は怖がってずっとケージの中にいたが、一夜明けるとMさんの足にまとわりついて甘えてきた。
「あまりに足にくっついているので私の方が不安になるくらいでした」
2日前に来た先住猫茶太郎くんは、文吉くんを威嚇した。Mさんは、数日間お互いの気配を感じさせた後一緒の部屋にした。茶太郎くんは相変わらず威嚇していたが、文吉くんは特に気にするふうでもなくくつろいでいたので、Mさんはほっとしたという。
「私が見た目で選んだため、仲の良い猫2匹を一緒に引き取るのではなく、別々のところから1匹ずつ引き取ることになり、自分のエゴを感じて申し訳なく思った記憶があります」
名前は、「文」と入った古風な名前をつけたくて文吉と名付けた。普段はもんちゃんと呼んでいるという。
■猫と暮らして幸せに
文吉くんは、優しくて、甘えん坊。いつもMさんの側にいる。食へのこだわりが強いので、その時だけわがままになる。
「本当に良い子なのに、こんないい子が子猫じゃないというだけで居残り組になってしまうのかと思いました。文吉の兄弟猫や同じ時期に保護された猫数匹も同様の理由で居残り組になってしまったそうですが、その後引き取られたそうです」
茶太郎くんと文吉くんは、すごく仲良しというわけではないが、少しずつ同じ家で暮らす同居人だと認め合えるようになったそうだ。
Mさんは猫と暮らして幸福度が断然上がったという。
「温かくて柔らかくて可愛い生き物に毎日癒されています。朝早く起こされるし、部屋のいたるところをボロボロにされるし、旅行にも行けませんが、それを全てひっくるめて『猫を飼わないと人生の大部分を損してしまう』と、友人に言うくらい幸せです」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)