盲導犬との食事→お店「犬の待機場所がないんです」 浸透していない補助犬法、全盲の女性「知ってほしい」
「盲導犬ヴィヴィッドと飲食店で「待機場所がないんです」とよく言われます。知らなくて当然なんですよね。盲導犬は使用者の足の下かテーブルの下に待機します。頭とお尻がちょっとだけテーブルからでちゃうので、壁側に座らせていただければめちゃ助かります。ぜひ、知っていただければ嬉しいです」とツイートしたのは、浅井純子(じゅんじゅん) 全盲の世界を超ポジティブに生きる人(@nofkOzrKtKUViTE)さん。
そこには、カフェでくつろぐ浅井純子(じゅんじゅん) さんの足元に大人しく伏せている盲導犬のヴィヴィッドちゃんが写っていました。このツイートは、7.5万いいねを獲得、2.6万回もリツイートされました。
「電車でも足の下にちゃんと待機してて目が合うとニッコリ。『わたし良い子でしょ』って顔してる盲導犬ちゃんを見て、電車の中でニヤニヤする不審者になったことを思い出しました。もっと働くワンちゃん達とデートできる場所が増えて、もっと周りの理解も広まりますよーに」というもっと補助犬のことを理解してほしいというリプライもたくさん寄せられました。
「私の地域の店舗も住宅(特に自治体の賃貸住宅とUR)も盲導犬、聴導犬など介護犬OKになってほしいとか思います」
「飲食店だと壁側の方がいいんですね。電車だと窓側と通路側どちらの方が良いというのがあれば教えて欲しいです!」→「新幹線などでは私は通路側に座ります。特急などのボックス席では他のお客様のかなり邪魔になるのでそこには座らないことが多いですね」
「ヴィヴィッドちゃんカメラ目線可愛い ほんと素敵なショットですね!」
浅井純子(じゅんじゅん) さんは、なぜこのツイートをされたのか、お話を伺ってみました。
ーー生まれつき全盲でいらっしゃるのでしょうか。
「私は30歳で角膜の免疫の病気を発病し、それから視覚障害者となりました。4年前に全盲となりそれまでは徐々に視力の低下がありました」
ーーヴィヴィッドちゃんとはいつ頃からのお付き合いですか。
「パートナーとなって今年の3月24日で6年になります」
ーーヴィヴィッドちゃんは何歳ですか。
「今は7歳です」
ーー「待機場所がないからお断り」と言われることが多いのでしょうか。
「たまたまだと思いますが、最近そのように言われることが多いです。他の盲導犬使用者の人からは『私どもの店に犬は入店することができません』とか『衛生上、他のお客様に迷惑をかけかける可能性があるので無理なんです』、『お客様にアレルギーの人がいらっしゃるかもしれません』などの理由で断られたとよく耳にします」
ーー「待機場所がないから」というのは、入店を断るための言い訳のように思いませんか。
「盲導犬を使用し始めた頃はそのように思っていたこともありました。でも、よくお店の人にお話を聞くと、まず補助犬法と言う法律があると言うことを知らない方が本当に多いんです。このような法律があることを知らなければ、入店を断るお店もあるでしょう。まさか盲導犬使用者の足の下やテーブルの下に待機できるとは皆さんご存知ないようで、待機場所がないということになるのです。『待機場所が用意できておりません』と断られることが多いとつくづく思います」
ーー今後、どのようなことを望まれていますか。
「去年の11月頃に入店を断られたとても有名な店がありました。補助犬法を知らなかったんです。『私どものお店は盲導犬を待機させる場所がないんです』と言われました。どうしてそのように考えられたのか店の人に聞いてみると、『SNSで盲導犬の待機場所をきちんと調べたのですが、どこにもどこに待機するのか掲載されていなかった』と言われました。補助犬を入店させるための法律ができてからずいぶん経ちますが、それでもこのような方がいっぱいいらっしゃるのだと実感しました。これは盲導犬協会や厚生労働省などの広報の問題でもありますが、私たち盲導犬使用者ももっと声を上げなければいけないと思いました。補助犬法が浸透して、より暮らしやすい社会になっていけばいいなと思います」
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デパートの出入り口などにも盲導犬や聴導犬、介助犬といった補助犬の入店が可能ですというマークが掲示されていますが、その詳しい内容となると知らない人も多いのではないでしょうか。飲食店では、「犬」というと衛生面が気になる店舗も少なくないでしょう。
しかし、「なんとなくそう思うからお断り」というのではなく、このツイートを通じて補助犬法への理解が広まるといいですね。補助犬がゆったりと待機できる店はテーブルの間隔も広く、誰にとっても居心地のいい場所のはず。この取材を通じて、そんな店が増えたらいいなと思いました。
*補助犬法=身体障害者補助犬法(平成十四年法律第四十九号)
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)