酒どころでは“日陰”の存在?『甘酒』の奥深い魅力に新聞記者が迫る!…「飲む点滴」「飲む美容液」の異名を持つ実はすごいヤツ
兵庫県南東部の「阪神間」は日本有数の酒どころだ。灘五郷の一角を占める西宮郷、今津郷に加え、伊丹市は「清酒発祥の地」として名を馳せている。しかし、清酒と同じく米と麹(こうじ)から造られているのに、あまり脚光を浴びていない逸品がある。
それは「A・MA・ZA・KE(甘酒)」。新聞記者たちがその名を世界に轟かせようと、甘酒の魅力に迫るリポート動画を作ってみた。
動画に出演した入社11年目の男性記者Aと、入社2年目の男性記者Bが掛け合いでお届けする。
■こんなに奥深いのか!
B「普段日本酒を取材する機会は多くても、甘酒を掘り下げることはほとんどないですよね」
A「そう、阪神間に造り酒屋がこれだけあれば、甘酒にも同じくらい多様な個性があるだろうと踏んだんだ」
B「体によい飲み物で、初詣の時に神社で配っているというくらいのイメージでした。Aさんは?」
A「古里の北海道では、スキー場でココアと並ぶ人気商品なんだ。アルコールが含まれていないから、子どもも、お酒が苦手な人も楽しめるんだよね」
B「でも今回、そのおいしさをどう伝えるかに迷いましたよね」
A「飲み比べをしている様子をそのまま収録した。伊丹、西宮の3品に絞って、記者たちで品評する『甘酒鑑評会』を開いた」
B「飲み比べると、みんな『全然違う!』って口を揃えましたよね。甘酒ってこんなに奥深いのか…って」
A「伊丹市の『白雪食品』は濃縮タイプ。よくある甘酒よりしっかりと深みのある甘さで、子どもはこれが一番好きかもしれない」
B「西宮市の『大関』は、酒かすタイプですね。ショウガが入ってさっぱりとしていて、蜂蜜の甘さとのバランスが抜群です」
A「西宮の『白鷹』は、どうだった?」
B「濃縮タイプ。何より麹の粒々感が楽しめて、味がとてもしっかりしてます。冷やすか温めるかで、全く味わいが違うのも面白い」
A「結果的に白鷹を優勝とさせてもらいましたが、どれも本当においしかったなあ。評価はあくまで記者の好みですので」
■酒好き以外も酒蔵へ
B「僕たち以上に地域の方々がノリノリでしたよね」
A「頼もしい応援団だったなあ」
B「白鷹禄水苑の今井豊支配人は初めて聞く飲み方を教えてくれました。運動の後にギンギンに冷やして飲むのもおすすめなんですよねえ」
A「健康にもよくって『飲む点滴』『飲む美容液』って言われるよな。武庫川女子大学の松井徳光教授が発酵食品に詳しくて、その理由を熱量たっぷりに語ってくれた」
B「特保に認定される『GABA』も含まれ、リラックスや血圧を下げる効果があるなんて知らなかった」
A「酒蔵ってどうしても酒好きしか縁のないイメージだけど、甘酒の紹介を通して、子どもや女性、お酒を飲めない人もたくさん足を運んでくれたらうれしいな」
B「そうなんです。だからあえて、子どもや若者にも見てもらいたいと思って、私たち2人の掛け合いで笑える動画を目指しました。YouTuber『はじめしゃちょー』さんのコンテンツから着想を得て、動画の切り貼りを何百回も繰り返したんですよ」
A「新聞記者が普段しないことばっかりだったなあ…」
B「ロケ地には夜の新西宮浜ヨットハーバーを選びました。デートスポットなんですかね? あそこは。日本酒の『和』のイメージからかけ離れた場所から、違った層に刺さればいいなって」
A「完成動画を生配信した時に『あした甘酒買いに行こうかな』とコメントがあったのが最高に嬉しかったなあ」
(神戸新聞・竹本拓也、村上貴浩)