お餅を水に浸すだけで1カ月カビ防止?「水餅」が話題「おばあちゃんがやってた!」
新年も10日を過ぎ、まもなく旧正月。関西では鏡開きを15日に行うところが多いようです。いろんなお餅料理もそろそろ飽きたころかもしれませんが…保存の大敵は言うまでもなく「カビ」。さまざまな防止法がある中、ネット上では水にお餅を浸して長期保存する「水餅」が話題になりました。
年配の方では、母親や祖母が瓶にいっぱいのお餅と水を入れて保存しているのを見たことがある人も多いのでは。「お餅を水につけて保存?」「そういうのもあるのか」「おばあちゃん家で見た」…。ネット上でもつぶやきが飛び交う中、「実家では余ったお餅は水餅にしてたのですが、この方法周りは皆知らなくてビックリ!あんまりメジャーじゃないのかな?」とツイートしたのは、まるまるこ(@P2hYulnWpZJAnqC)さん。まるまるこさんは30代ですが、今でも水餅にして保存しているといいます。
保存するのは「ついて2日目以降の完全に固まったお餅」。少しでも柔らかさが残っていると、水につけている間に溶けてしまうのだそうです。そのお餅を、粉を落とすために水洗いしたら、きれいな水につけて、冷蔵庫へ。水は水道水で大丈夫で、寒い時期なら暖房を使わない場所でも保管できるといいますが、ポイントは①完全につけて空気に触れさせないこと②水替えは毎日すること。餅が少しでも水から出て空気に触れているとカビが生えるといい、この2点を守れば「1カ月ほどはもつ」そうです。
最近では冷凍が主流になりましたが、かつてはこの方法が一般的でした。水替えの手間はかかるものの、まるまるこさんは「一番簡単に美味しいまま保存できる方法だから」と断然“水餅派”。「冷凍だと1個ずつラップにくるんで保存袋に入れて空気を抜いて…という作業が面倒で…(笑)。水餅だと乾燥を防ぐため外側だけが固くなることがありませんし、冷凍と違って解凍の手間もなくレンジで一分程でつきたてと変わらないお餅が食べられます。私の知り合いは誰も知らなかったのですが、本当に美味しく保存出来るので、是非皆さんに知って欲しいです」と教えてくれました。
ちなみに、餅に生えるのは、クロカビ、コウジカビ、アオカビ、アカパンカビ、ケカビ、カワキコウジカビ…と多くの種類のカビ。ただし、千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志准教授によると、カビの成長には酸素が必要なため、酸素に触れない環境に置くのが最も効果的だといいます。市販の個包装の餅が真空パックで脱酸素剤を入れているのはこのため。水餅も基本的にこれを利用しており、空気中に比べれば酸素が少ない状態に置くことで、カビが成長する速度を遅くしているといいます。ただし、水中にもカビはいるので、細やかな水替えは必須ですし、長く置いたままにしておくとカビが生えてしまいます。
このほか、和カラシやワサビなどを入れて密封するという方法は、共通する揮発性の辛み成分(アリルイソチオシアネート)が抗菌・抗カビ作用を持つため。ただ、揮発性のため開けるたびに効果が薄れてしまいますし、脱酸素剤を入れる時も穴や隙間が空かないようにしないと空気(酸素)が流れ込んできてしまい、カビが生えてしまうのだそうです。
つきたてのお餅のみずみずしさとやわらかさは、やっぱり格別。先人の知恵と最先端の方法を駆使しつつ、長く堪能したいもの。もし他の方法で効果的なものがあれば、教えてください!
(まいどなニュース/神戸新聞・広畑 千春)