「完全に無法地帯」TikTok上で誤った医療情報を発信する“自称専門家”たち 医師「不確かな情報を拡散しないで」
10代、20代の若者を中心に人気を博している動画アプリTikTok。
投稿される動画はダンスや音楽、お笑いなどのエンターテイメント系コンテンツが主だが、このところ自称医療専門家によって誤った医療情報が発信され問題になっているようだ。
先日、産婦人科専門医、医学博士でYouTuberとしても活躍する高橋怜奈さん(@renatkhsh)は自身のTwitterアカウント上で
「TikTokって白衣着てるだけの怪しい自称専門家がいっぱいいるんだけど、その中の一人が妊活に関するライブやってて偶然見たら、子宮内膜症をずっと『しきゅうないまくせい』って言ってたんだけど、めちゃくちゃ人からの質問に答えてて、完全に無法地帯だった。鎮痛剤飲むと妊娠しないとか言ってたやば。」
と発言。
医療の専門知識どころか常用漢字の読み書きすらおぼつかない“専門家”が多くの若者から支持されているという事実に、SNSユーザー達からは
「見たら予想以上に酷かったです (要約)Wifiは電磁波だから不妊の原因になることがわかってて自然のマイナスイオンで体から抜けていくから自然の中を裸足で歩くと体に溜まった電磁波が抜けていくのをオススメ こ…これを平然と自信満々スマホ向けの動画で喋ってる神経がすごいです;」
「tiktokはすごい無法地帯で,若い子たちがtiktokで質問して、そういう変な方々の言葉を信用しています」
「不妊治療経て出産した方で、妊活アドバイザーとかいう肩書書いてる素人の方いますよね‥‥ 不妊治療して出産しただけで専門家になれるなら楽なもんやでェ」
「藁にも縋るという言葉がありますが。とんでも理論が拡散されていてびっくりします。SNS等でそういう怪しいものを篩に掛けて本当に正しい知識だけを残す機能は付けられないのでしょうか」
など数々の驚きの声が寄せられている。
高橋さんにお話を聞いた。
--ご覧になったTikTok動画はネタとかではなく、真剣に医療情報を発信するテイだったのでしょうか?
高橋:はい、TikTokユーザーは完全に信じてしまっている感じでした。
--近年、インターネット上、SNS上で身分不詳の“専門家”によりいい加減な医療情報が発信され話題になっていますね。
高橋:今は様々なSNSツールがあり情報がカオス化しています。ユーザーが情報を取捨選択する事が必要になってきています。
SNSは広がりやすいので、不確かな情報を拡散しないよう、情報リテラシーを持つべきだと思います。今回のツイートが思いのほか反響が大きく、問題視している人は沢山いるのだと思います。ただし問題視できていても、実際にどれが正しい情報かを見抜くのは難しいと思います。
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筆者もいくつかTikTok上の医療系とされるアカウントを確認した。中には信頼できそうなものもあるが、首をかしげざるを得ない内容のものも相当数あった。困った時は藁をもつかみたい気持ちになるのが人情だが、かけがえのない健康や生命にかかわること。体調に不安を感じた際は高橋さんのように身分を明かしている医師の情報を優先し、ぜひ医療機関の診察を受けていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)