大雨の翌日、家族と離ればなれになった子猫を保護 やんちゃな先住猫の良き遊び相手になる
■母猫と兄弟が消えた
クロちゃん(生後8ヶ月・オス)は、母猫と子猫の兄弟猫と一緒に暮らしていた。ところが、大雨が降ったのを機に、クロちゃんだけを残してみんないなくなったという。
千葉県に住むCさんは、家の裏で子猫の鳴き声がするので、2ヶ月くらいずっと探していた。何度も探したが、子猫は見当たらなかった。ある日、2階の窓から近所の古い家の屋根に母猫と4匹の子猫がいるのが見えたので、その日から気になって見守りながら、ごはんや水を近くに置いていた。
ある日、梅雨時だったので大雨が降り、猫たちは身を寄せ合って一晩過ごしていた。しかし、翌日、一番小さい子猫を残してみんないなくなってしまった。
「我が家にはブリーダーから迎えた純血のエジプシャンマウが3匹いたので、うちで引き取ろうとは考えていませんでした。でも、家主が子猫に気付いてほうきで追い払おうとしたのを見て、慌てていつも行く動物病院で捕獲器を借りて保護しました」
■ワクチンを打ち終わるまで育てよう
2021年6月21日に保護されたクロちゃん。最初は暴れて大変だったが、獣医師が、「里親探しは手伝いますよ」と言ってくれたので、Cさんは、ワクチンをうち終わるくらいまでは面倒を見て人慣れさせようと決心した。
もうすぐ1歳になる先住猫のケージがあったので、そこにトイレやハンモックやごはんやおもちゃを入れて世話をした。クロちゃんはすぐ懐いて、気がついたら手放せなくなっていたという。
Cさんは、10歳の女の子2匹と0歳のやんちゃな男の子を飼っていたが、0歳のアクアちゃんにシニア猫たちが手を焼いていた。
「クロちゃんはアクアのちょうどいい遊び相手になってくれました。クロちゃんはまだ母猫に甘えたい時期だったので、いつもお兄ちゃんと添い寝をしていて、今でも仲良しです」
最初、Cさんは、名前をつけてしまうと情がわくと思い、あえて名前はつけなかった。病院の領収証に“くろねこ”と書いてあったのでそのままクロちゃんになったという。
■猫が人生を豊かにしてくれた
クロちゃんは、野良猫だったので怖がりだが、2ヶ月も屋根の上で頑張っていたのでメンタルは強い。怒られてもこりないそうだ。
「でも、そそうもしないし、先住猫には絶対服従な感じがとても偉いです」
後日、動物病院に行くと、残りの黒猫の兄弟が保護されたというポスターが貼ってあった。Cさんは、無事里親さんが見つかったと聞いて安心し、嬉しく思ったという。
「猫がいるとなかなか家も開けられず、お金もかかりますが、家族の会話も増え、本当に人生を豊かにしてくれたと思います。ヨーロッパに行くと、『野良猫を見かけたらごはんと水をあげましょう』と書いてある看板があります。日本でも外猫と家猫の境遇の違いが、少しでもなくなればいいと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)