積雪の道を歩いていたら…雪の街に突如、あらわれた「双子の怪物」が話題に
自販機の横に置かれたリサイクルボックスに降り積もった雪が作った"双子の怪物"がSNS上で大きな注目を集めている。
「積雪の道を歩いていたら双子の怪物に遭遇したんです。」
と、この双子を紹介したのはイラストレーター、漫画家で怪談師のおおぐろてんさん(@ooguro_ten)。
缶、ペットボトルを入れる投入口が目、容器の蓋の境目が口のようになっているが、これは大自然と人工物の奇跡のコラボだったようだ。おおぐろてんさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「その双子の怪物の弱点をご存知でしょうか? 彼らは大変に繊細でちょっとした刺激でもすぐに気を失います。
なぜなら、そう・・・ビンカン、だからね!!(ドヤァ)」
「見た感じ右がお兄ちゃんかな…( ̄▽ ̄;)
左の弟はやんちゃっぽい表情が良いですね」
「分別しないと食べちゃうぞ」
など数々のコメントが寄せられている。
おおぐろてんさんにお話をうかがってみた。
ーーこの光景を見かけられた場所は?
おおぐろてん:東京都練馬区の住宅街です。駅から10分程歩いた閑静な場所にあるコインパーキング敷地内の自販機横に並んでいました。
ーー見かけられた際のご感想をあらためてお聞かせください。
おおぐろてん:夕方、仕事帰りに駅から歩きだすと雪がちらついていて、道路一面、雪が積もっていました。へとへとに疲れている上、40kg近い大荷物を持っていたので滑らぬようにと足元を見ながら慎重に歩き、途中で立ち止まっては荷物を逆の手に持ちかえて、また歩き出すというのを繰り返す帰路でした。
しばらく歩いて人通りも少なくなってきた辺りで立ち止まり、荷物を持ち直していると、視線の先に灯りが見えました。雪雲で空が覆われているため辺りは暗く、そこだけ際立って明るかったので、特に意識もせずそちらを見たんです。すると二つ並んだキャラクターの様な物が目に入り、二度見して立ち止まってしまいました。
初めはあまりにも良く出来た感じに見えたので、誰かが雪遊びをした跡かなと思ったのですが、近づいてみると雪の表面に人が手を入れた痕跡は無く、リサイクルボックスの形状に沿って積もった雪が偶然、生物の顔の様に見えているのだとわかりました。
いわゆるシミュラクラ現象ではあるものの、二体で肩を並べて口を開けているその姿は可愛らしくも哀愁を漂わせていて、それがまさに自然現象と人工物のコラボ的だなと何とも言えない微笑ましい気持ちになり、気づけば荷物を置いて写真を撮っていました。束の間、寒さや仕事の疲れも忘れていました。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
おおぐろてん:最初は自分の配信リスナーに向けて、ほっこりした気分をおすそ分けするノリで投稿したのですが、思いのほか反響があったので「ああやっぱり皆、可愛いって思うよね」と納得しました。
「〇〇に似てる」「△△と一致!」と言うような引用RTも多いですが、人によって例に挙げているアイテムやキャラクターが異なり、世代や畑を象徴していていかにもSNSコミュニケーションだなと興味深かったです。
コロナ禍で外に出て雪景色を見ることもたやすく出来ないような閉塞感の中、自分も含め大勢の人の気持ちを明るくしたり、ささやかな癒しをくれたりといった双子の怪物からのお年玉に感謝しています。
同時に、この機に周知したいのは、双子の本体は「ごみ箱」ではなく資源分別のための「空容器のリサイクルボックス」だということです。缶・ペットボトル・瓶以外のゴミ、例えばタバコの吸いガラや弁当ガラ、タピオカドリンクのカップなどの「ここに捨ててはいけないゴミ」が捨てられる事が恒常的な問題になっています。双子は我々に癒しだけでなく、そんなことも再確認するきっかけを与えてくれた気がします。
◇ ◇
読者のみなさんの身近にもこんな"怪物"たちが出現していないだろうか?多くの人につかの間の癒しや気付きを与える怪物たち…できれば雪を払いのけたりせず溶けるまでそっと見守ってやってほしいと願う。
おおぐろてんさん プロフィール
イラストレーターやアニメ・ゲームの演出、絵コンテなどを生業としつつ、実際にあった怖い話を語る怪談師としてもメディアに多数出演。
毎週土曜の夜にはyoutubeにて怪談生配信中。
現在は自社ブランドで任天堂Switch向けのホラーゲーム開発を行っている。
代表作はライトノベル「超訳ラブクラフトライトシリーズ」(創土社)、コミックス「童提灯 全2巻」(創土社)など。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)