男性の育休 取りにくい空気、どう破る? 会社で初めて長期育休取った会社員が語る
男性の育児休業取得が求める声が年々高まっていますが、2020年度に男性が育休を取った割合は1割程度です。なぜ育休は取りにくいのでしょう?千葉県在住で第2子誕生を機に、勤務先の会社で初めて7カ月の育休を取った30代の男性会社員は「取ります、と宣言しちゃえばいい。今の時代、『ダメだ』とは言われないので」とあえて空気を打ち破りました。
■「ワンオペだったら病んでいた」
男性は2021年11月に第2子となる長男が誕生し、長期の育休に入りました。30代の妻とともに、生後1カ月半になった子どもの授乳やオムツ替えのほか、6歳の長女の保育園への送り迎え、ゴミ出し、買い物と次々に襲いかかる用事をこなす日々だといいます。
「仕事と違ってオンオフがない。妻とやっているから6、7時間眠れてるけど、1人でやってたら病むなと思います」。夜中でも2~3時間おきに泣き出し、求められる授乳。その間におしっこやうんちのついたおむつを替える。「いつ始まるか分からない恐怖がある。仕事だったらまだコントロールが利くけど、1人だったら全然眠れなくて、寝不足でイライラするだろうなと思う」。心身ともに追い詰められ、虐待してしまう母親の気持ちが分かるようになったといいます。
■仕事よりキツい でも育休取ってよかった
仕事では業務時間外のクレームに対応することもあった男性ですが、乳幼児期の育児は仕事以上に終わりが見えず、簡単に人に任せられないため、「自分がやらなきゃというプレッシャーが大きい」と仕事を上回る重圧を実感しています。
では、育休を取ったことを後悔しているのでしょうか?男性の答えはノーでした。「育休を取ってよかったです。妻がワンオペで子育てをする大変さが分かりました」。乳児期は成長が著しく、「日々顔つきが変わっていく。そばにいないと分からないことでした」と実感を込めて話します。
■次の世代が取りやすいように
男性が勤める会社は、男性社員の育休取得を推奨していますが、実際には1カ月程度の短期取得が多く、男性の7カ月取得は前例がありませんでした。「みんな会社の空気を読んで短い育休を消化している印象です」と男性は振り返ります。なぜ、男性は社内の空気を読まず、育休を取ったのでしょうか?「第1子が生まれた時から、育休を取りたいと思っていました。これから育休を取る人が増えてほしい、という思いもありました」。後輩からは「自分の時に取りやすくなります」と好評で、上司は先輩たちは「ああそうなんだ」という受け止めだったといいます。いざ「取る」、と言ってしまえば、表だって反対はできない。男性の長期育休を歓迎する世論を背に、同調圧力をはねのけました。
男性はYouTubeで「2児のパパ育児日記 ~楽しく育児~」というチャンネルを開設しました。「育休中の記録のためと、男性の育休について知ってもらえたら、と思って」。少しでも育休が取りやすい世の中になるよう、男性は発信を続けるつもりです。
(まいどなニュース・伊藤 大介)