社会福祉士がシングルマザーに…「支援を受ける立場」になって広がった視野

社会福祉とは、児童や高齢者、心身に障害があったり、生活に困っていたりする人などに支援を行い、生存権を保障することです。日本にはさまざまな社会福祉制度がありますが、公的な制度だけでは足りないケースも存在します。生活のしづらさや課題を抱える人を支援する仕事に就く社会福祉士のBさん(40代・関東在住)は、離婚をきっかけに支援を受ける立場となり、公的な制度が行き届かない部分を実感したといいます。

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Bさんは社会福祉士という職業柄、これまで数多くの障害のある方の支援を行ってきました。支援が必要な人が一人ひとり抱えている課題は異なります。Bさんは離婚しひとり親になったことで、経済的な問題を抱えるようになりました。「高齢になる前に、自分が支援を受ける立場になるとは思ってもいなかった」と話します。

シングルマザーの多くの方が経済的な問題を抱えており、大きな社会問題となっています。ひとり親世帯を支援するための公的な支援の一つに「児童扶養手当」の給付があります。Bさんにとって手当の支給はとてもありがたいのですが、それだけでは経済的な問題の根本的な解決にはつながらないことを、当事者となり知ったそうです。

■収入を増やしたいが…公的な支援制度が利用できない

児童扶養手当は、収入や扶養する人数によって全額支給か一部停止支給かが決まります。正社員で働いていたBさんの場合は一部停止支給だったため、子どもの教育費や生活費、老後のことを考えると収入を増やす必要がありました。

公的な支援の中にはひとり親世帯が経済的に自立できるよう就労をサポートしたり、就業に必要とされる知識を習得するためのさまざまな制度があります。しかしBさんのようなケースでは、そういった制度を利用できないことも少なくありません。

Bさんは、収入を上げるために必要なことは、正社員としての収入以外に「副業」をすることだと感じたそうです。

Bさんが在宅でできる副業を探しているとき、シングルマザーを対象にライティングの仕事を提供すると同時にスキルアップを支援する企業と出会いました。いまBさんは社会福祉士としての仕事を続けながら、自分の空いた時間を利用しライターとして収入を得ています。このライターとしての収入があるからこそ、いまの生活が成り立っていると笑顔で話してくれました。

また、自身の体験が社会福祉士としての仕事にも生かされ、公的な支援だけではなく、その人が持つ人間関係や地域の力を生かした支援を行うことに、視点を向けることができるようになったそうです。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)

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