衰弱した子猫を発見した高校生、泣きながら相談するも「放っておきなさい」→見かねた先生が保護、手の温もりで命繋ぐ
■子猫の姉妹
こむぎちゃん(生後2ヶ月・メス)とあんずちゃん(生後2ヶ月・メス)は、2021年10月、生後3週間くらいの時に高校生のAさんに発見された。周囲に母猫らしき猫は見当たらなかったという。
Aさんは親に「子猫を飼いたい」と言ったが、だめだと言われた。どこか保護してくれる保護団体はないかと電話をしてみたが、どこに問い合わせても「何もできないのであれば放っておくように」と言われた。途方に暮れたAさんは高校の先生の鈴木さんに相談した。
■「今夜が山だ」
鈴木さんはAさんが泣きながら電話をしているのを見ていたので、なんとかしてあげたいと思い、猫を飼っている弟に相談した。弟はすでに猫を4匹も飼っていたので、それ以上飼う気はなかったという。
「でも、高校生ではできることが限られていますし、一時的に保護することにしました」
Aさんが発見してから3日ほど経った時、鈴木さん兄弟はAさんの家に行き、子猫たちを引き取った。
「どちらもノミとノミのフン、自分達のフンまみれで、2匹のうち1匹はかなり衰弱していました。1匹は移動中もずっと動き回っていましたが、もう1匹は全く動かないままでした」
すぐに病院へ直行すると、衰弱している方は体温が下がりきっていて、「今夜が山だ」と言われた。
■手に包んで温めて
病院からの帰り道、段ボールの中の子猫に毛布をかけていたが、毛布では温められず子猫は冷たくなっていた。鈴木さんの弟は、家に帰るまで手に包んで、1時間ほど吐息を吹き込み続けて温めた。
「家に帰ってからも、兄と交互に合計で3、4時間ほど手に包んで温め続けたら、少し体調が良くなったのか、ご飯を食べてくれました」
その後の2週間は2匹の体調が安定せず、片方が元気になったと思ったらもう片方が体調を崩すという繰り返しで、ほぼ毎日病院に行った。1日に2回病院に行くこともあったし、2時間ほどかけて夜間病院に行くこともあった。
■うちの子にする
鈴木さんの弟は、深夜もずっと3時間おきにミルクを飲ませなければならず、すぐには里親を見つけられないと考え、固形のごはんを食べられるようになるまでは世話をしようと思ったそうだ。
ところが、世話をするうちにどんどん愛着が湧いてしまった。2匹を一緒に引き取ってくれる里親さんがまだ見つかっていなかったこともあり、結局、鈴木さんの弟が飼うことになったという。
保護当時は一時的な保護の予定だったので、保護当時元気があった方を「(元気)ありこちゃん」、衰弱していた方を「(元気)なしこちゃん」と呼んでいた。しかし、「なしこちゃん、なしこちゃん」と言っていると、本当に元気がなくなってしまいそうな気がしたので、なしこちゃんを「こむぎちゃん」に、ありこちゃんを「あんずちゃん」にした。
■家族の人気者
2匹とも人が大好きなおてんば娘。今はまだワクチンも打っておらず、小さくてウロウロさせるのも危険なので、他の猫とは隔離して飼育している。
鈴木さんの弟らが部屋に入ってくると、寝ていても起き上がって訴えかけるように鳴き、ケージの中に入れば膝の上に乗ったり、背中に登ってきたり、背中や膝の上で戯れたりする。
2匹を迎えて家族の会話が増え、家族の皆が、寝る前にケージの中に入って猫と遊ぶのが日課になっているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)