右手のない子猫、大きな目に一目惚れし家族に 初めは拒否した先住猫ともすぐに仲良く、毎日が運動会に

■右前脚を失った子猫

ひかえちゃん(生後9ヶ月・メス)は、沖縄県で交通事故に遭い保護された。一命は取り留めたが右前脚を失った。

2021年8月、神奈川県の保護団体「おーあみ避難所」に来て里親を募集したのだが、当時、生後3ヶ月で、1本脚がないハンディを全く感じさせず元気いっぱいだったという。

■大きな目の可愛い子猫

神奈川県に住む前畑さんは、まげちゃんとおよめちゃんという2匹の元保護猫を飼っていた。

「毎日一緒にいる姿を見るのが楽しくて、3匹になったらもっと楽しい毎日なんじゃないかと思ったんです。我が家に来たら、まげとおよめと一緒に幸せに過ごせるはずだとも思いました。お外で大変な思いをしてきた保護猫を迎えようと思いました」

8月、前畑さんは、夫と「おーあみ避難所」の譲渡会に行ってみた。特に目当ての子は決めていなかったが、部屋に入ってすぐのところにいたケージに入ったすごく大きな目の子猫に目が留まった。

「最初は気づかなかったのですが、ボランティアさんから右前脚が一本ないと聞きました。我が家は留守番が多いので心配したのですが、『大丈夫、普通の猫と何も変わらない』と言われました」

前畑さんはひかえちゃんのことがとても気になったが、すぐに決めずに帰宅した。

「おーあみ避難所」では、譲渡サイトでも里親を募集していたので、前畑さんは、「ひかえちゃんが出ていないかな・・・」と、毎日サイトをチェックした。

何日か後、譲渡サイトにひかえちゃんが出ていたので、前畑さんは、今度は迷うことなくすぐに応募した。

「その時、まだうちに来ると決まったわけではないのに、まげとおよめなら絶対仲良くできると思い込んでいました」

■先住猫、受け入れを拒否

オンライン面談を経て、ひかえちゃんの里親になることが決まり、「おーあみ避難所」の代表、大網さんが家まで連れてきてくれた。

「小顔でおめめが大きく、とっても可愛い子でした」

2週間のトライアルからのスタートだったが、前畑さんは、「まげとおよめなら大丈夫」と勝手に確信していた。

初日は、少し離れたところから対面させたが、ひかえちゃんは全く物おじすることなく、まげちゃんやおよめちゃんに近づいた。まげちゃんはタジタジしてへっぴり腰に、およめちゃんがカチカチに固まった。先住猫たちは2階にこもってしまったり、吐いたりしたという。

「心が折れそうになりました。その都度、大網さん、ボランティアさんが相談に乗ってくれて助かりました」

ひかえちゃん自身も緊張していたのか、ごはんも食べず、トイレもせず、本気のシャーではないが、小さくシャーと言った。前畑さんは、ボランティアに「ケージに布をかけてみたら」とアドバイスしてもらい、布をかけると落ち着いたという。ただ、まげちゃんやおよめちゃんが見えると、「出して、出して」と鳴いてアピールした。

前畑さんは、なぜ先住猫とうまくいかなかったのか悩み、「猫の部屋にケージを置いたけど、もしかしたらあそこはまげの縄張りだったのかも!」と思い、ケージをリビングに移動した。すると、まげちゃんもおよめちゃんも2階から降りてくるようになり、ケージ越しに顔を合わせて手を入れるようになったという。

その様子を見て前畑さんは、まだ少し早いかもしれないと思ったが、4日目にひかえちゃんをケージから出してみた。すると子猫だからなのか、思いのほか3匹はすぐに仲良くなれたという。

■自分も頑張ろう!と思える

ひかえちゃんは、お転婆娘。イタズラをしても何食わぬ顔でケロッとしているそうだ。

今では3匹で相撲をしたり追いかけっこをしたり、毎日が運動会。賑やかで楽しいが、前畑さんは「とにかく忙しい」と言う。

「3匹になった途端、ごはんもすぐに無くなるし、ひたすらトイレ掃除をしているような感じです(汗)」

ひかえちゃんは、脚が一本ないことを忘れてしまうほど元気で、前畑さんは、「自分も頑張ろう」と、励まされるという。

「譲渡サイトを見ると、脚がない子や目の見えない子とかをよく見かけます。そういう子たちをお迎えしてくれる里親さんが増えたらいいなと思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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