「落ちたら絶対に助からない」凍った諏訪湖に立ち入る人たちに震えるSNS「命知らずじゃない、無知だ」

結氷した湖面が山脈状に隆起する御神渡(おみわた)りの出現が待たれる諏訪湖(長野県諏訪市)。その諏訪湖で立ち入りが禁止されているにもかかわらず、凍った湖に入り込み、氷上を歩き回る人たちの画像がSNSで拡散しています。訪れる皆さん、湖を渡れるのは“神様”だけですー。撮影者に聞きました。

「氷上危険 立入禁止」のプレートが取り付けられたロープの向こうは一面に氷が張った諏訪湖。その氷上を歩いている人は少なくとも10人以上。湖岸から相当距離がある初島付近にも人影を確認できます。御神渡りを認定する八剱神社関係者ではなく、観光客とみられます。結氷しているとはいえ、湖畔には温泉があるため氷の厚さにはムラがあり、湖底堆積物からメタンガスなどが生じるため、「釜穴」と呼ばれる薄氷の箇所が無数にあるといいます。もし落水したら命に係わる重大事故につながりかねません。

「地元の人達はこの程度の厚さじゃ絶対に乗ったりしない。釜穴に落ちて死んだ人たちの話を子供の頃から聞いてるから」とツイッターユーザーの研磨職人みならい(@kenma_minarai)さんが公開した画像にネットは騒然。「あっぶねぇ・・・!」「良くこんな事ができるな…。」「地域の人間からしたらあり得ない」「落ちたら絶対に上がれないよ」「命知らずすぎる」 などの声が上がっています。

■「注意喚起になれば」…撮影者に聞いた

撮影したのは、2022年1月23日の夕方ごろ。諏訪湖周ロードのホテル紅や付近から初島に目をやると、氷上に人影を見つけました。誰かが通報したのか、間もなく警察車両がやってきて湖岸に戻るよう呼びかけがあったそうです。幸い落水事故には至りませんでしたが、「注意喚起になれば」と画像を投稿した研磨職人みならいさんに聞きました。

ー凍った湖へ人が立ち入るのは

「以前に全面結氷した際にも問題になりました。諏訪湖周自治体によってロープを張り巡らせてあり、氷が安全であるかを示すための旗が設置されています。赤旗であれば危険なので立入禁止、白旗であれば釜穴などのない指定された場所においては歩いても良いというルールがあります。これらのルールは周辺自治体では周知されているかもしれませんが、観光客まで周知されているかは分かりません。ただし、危険であることは画像の通りロープと看板で知らせています」

ー釜穴と呼ばれる薄氷の部分が数多くあるんですね

「釜穴の恐ろしさは諏訪湖周辺に住む人たちには当然のことですが、一般には知られていないかもしれません。私も小さな頃から祖父や祖母、両親からも諏訪湖に氷が張っても場所によって極端に薄い部分があるから気を付けなさいを言われて育ちました。最近は釜穴に落ちて亡くなったという事故の話は聞きませんが、それは湖周辺に住む人たちが注意喚起を行っているからなのかもしれません。最近は氷上を歩く人を見かけるとすぐに警察が動くような印象です」

ー地元の人にとって諏訪湖とは 

「無くてはならないものです。普段はなんてことのない特にキレイでもない湖なのですが、地質的にはフォッサマグナと中央構造線の交点になっています。諏訪湖を挟んで存在する諏訪大社を通じて自然信仰が深い地域なので、諏訪の神々がいる場所という意識は潜在的にあるのかもしれません。今年は諏訪大社の7年に1度行われる御柱大祭の年でもありますし、諏訪の人々の熱気をみていただきたいです」

温泉や諏訪大社だけでなく、諏訪湖周辺は縄文文化にも深い関わりがあるといいます。諏訪湖の特産はワカサギやテナガエビが有名。湖周辺には近くランニングロードとサイクリングロードが完成するそうです。「諏訪湖は年間を通じて落水事故があります。せっかく観光で来られた人に、けがや嫌な思いはしてほしくないと思い投稿しました。今の季節は湖畔から諏訪湖の美しさを感じ取ってもらえれば」と話しています。

(まいどなニュース・竹内 章)

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