「怖がりすぎて…」譲渡会で木の陰に隠れていた“台湾犬” 現地で保護犬2匹と暮らす日本人に聞いた

 日本には柴犬、秋田犬、土佐犬など日本種のイヌがいますが、台湾にも台湾種のイヌがいるのをご存じですか? 台湾種の保護犬2匹と暮らす台湾ブロガーのRieさんに話を聞きました。

■台湾種「台湾土狗」ってどんな犬?

 台湾種のイヌは「台湾土狗(タイワントゥーゴウ)」と呼ばれ、品種的には南アジアの狩猟犬の子孫と言われており、古くから台湾原住民と山岳地帯で一緒に暮らしていました。中型犬でくりっとしたアーモンド型の目、ピンと立った耳、三角形の頭部、そしてスリムですが筋肉質な犬です。主人への忠誠心が強く、狩りの良いパートナーだったそうです。現在では純な台湾土狗は原住民の集落かブリーダーのところにしかおらず、山などで保護される野犬はほとんどが他種との雑種です(雑種でも台湾土狗と呼べます)。

  2014年から台湾に住むRieさんに聞きました。

──台湾で犬を飼おうと思ったきっかけは?

 「移住して以来、ずっと飼いたいと思っていましたが、当時住んでいたアパートがペット禁止でした。数年前にペットOKの大きめのアパートに住み始めてから、保護犬施設を見に行きました。台湾土狗を飼いたいと思っていたので、2020年に1匹目ハルの里親になり、2021年になってから2匹目ナツを迎え入れました」

──2匹の性格を教えてください。

 「ハル(2歳、メス)は、目の上の白いマークがチャームポイント。とにかく飼い主のことが大好きです。おとなしめの性格で外面がいいため、人間とすぐに仲良くなります。ドッグランに行っても走らず、他のイヌの飼い主になでてもらって喜んでいます。多分イヌよりも人間が好き。ドーベルマン系のイヌとの雑種と推測しています」

 「ナツ(1歳、メス)は、見た目からジャックラッセルテリアのようなイヌとの雑種かと推測できます。走るのが早く、いつもドッグランで一等賞です。飼い主よりもハルのことが好きです。とにかく食いしん坊で、日に日に筋肉質になっていきます。譲渡会で木の陰に隠れていたくらい怖がりです。おとなしそうでハルちゃんと気が合うのでは…と思って決めました。人間に気を許すまで時間がかかりますが、他のイヌとはすぐに仲良くなれます」

──台湾では少し街から離れると今でも野犬がいます。施設で保護されているイヌたちはもともと野犬ですか?

 「山などで保護された野犬、その野犬の子犬たち、あとは義務化されているマイクロチップ登録がスキャンできなかった迷子犬もいます」

──保護犬の里親になるにあたっての手続きは難しいですか?外国人であることで面倒なことは?

 「施設によります。1匹目のハルちゃんは政府の保護施設から引き取りましたが、20歳以上で台湾の居留証所有者であれば簡単に里親になれます。ナツちゃんは他の保護団体から引き取ったので軽い面接がありました。団体によっては事前に飼い主の家を確認したり、誓約書がある場合もあるそう。ナツちゃんがいた保護団体は、何かあった時に取り戻せるようにと基本的にイヌの所有権を1年後に里親側に渡すなど、イヌが新しく住む環境を重視しています」

──台湾の野犬や保護犬に関する現状は。

 「台湾では2017年に法律によって殺処分が禁止されました。同時に野犬を減らす動きもあるので、保護施設はどこもパンク状態。資金不足、人手不足に苦しむ団体も少なくないと聞きます。最近ではクラウドファンディングなどを行っている団体もありますが、なかなか改善されません。また、モラルのない飼い主の多さも問題です。卑劣な環境でペットを飼育していたり、病気のまま放置したり。マイクロチップ登録が義務化されていますが、ペットの登録すら怠っている飼い主も多いのが現状です」

 台湾土狗は英語でTaiwan Dogと呼ばれ、近年ではアメリカでも人気が出てきているようです。飼い主に忠実でかわいい性格の子が多い品種です。筆者も将来、機会があれば台湾土狗の保護犬を飼ってみたいと思っています。

(まいどなニュース特約・Coco)

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