歯科医芸人も実感、忍び寄るコロナ クラスター警戒し、休診に 業者に消毒お願いしたら…思わぬ再会
新型コロナウイルスの感染拡大はとどまることを知りません。吉本興業所属のピン芸人で”パンヂー陳”こと、陳明裕さんが営む「めいゆう矯正歯科」(大阪・北千里)の”周辺”でもコロナの陽性が判明しました。陳さんはクラスターを起こしたら大変なことになると考え、ただちに休診。消毒業者に連絡を入れると、メドがついたのは2日後でした。こんなところでも医療が逼迫しているようです。
--どないしたんですか?こんな真昼間っから診療もせんと。
陳明裕(以下、陳):いやいや、とうとう出ちゃったんです。
--もう、出た出た話はいいですよ。以前に“お化け”も“お通じ”もやりましたから。
陳:それがね。先日、うちの医院に来た患者さんが2日後にコロナが判明した、と連絡があったんです。
--それって、コロナやのに矯正治療に来はったという事ですか?
陳:いえ、違うと思います。うちではすべての患者さんにも付き添いの方にも入室前に検温と手指消毒をしていますし、その時は何の症状もなく、キゲンよう口、開けてはりましたから。
--歯科の先生は、いつもマスクやフェイスシールドしてはるからそれだけじゃ濃厚接触にはならないですよね、確か。
陳:はい。でも、その患者さんが来た2日後、受付の方の娘さんもコロナ陽性になってしまい。うちの医院からクラスターでも起こしたら大変なので休診して、消毒業者さんに消毒してもらうことにしました。
--なるほど。それでこんな真昼間っからボーッとしてはるんですね。
陳:いつも暇そうにしてはる山本さんに言われたくはないですよ。それより、今ちょうど受験シーズンですので、患者さんがうちに来院したがためにコロナをもらって、受験できなくなって、その子の一生が変わってしまった、なんて事になったら目覚めが悪いですから。
--そりゃ、目覚めどころか、寝つきも悪くなりそうですね。
陳:それもそうですが、この時期は大学や高校の入試だけじゃないんですよ、実は。例えば、われわれ歯科医師の国家試験は1月29日、30日ですし、医師国家試験も2月5日、6日です。先日来院した医学生の女の子も診療中、口をあけながら、ずーっとスマホを見ているので、出会い系でもやってるのかな、と思っていたらスマホで国試の勉強をしてはりました。
--ところで、医師国家試験とかはコロナになったり、濃厚接触者になった場合、大学入学共通テストみたいに救済措置とかあるんですか?
陳:それが全くないそうで、その子も、冗談で「例え発熱してフラフラになったとしても試験は受けに行く」って言ってましたから。そんな受験生が何人もいたら会場で”移しまくり千代子”状態になっちゃうかもですね。
--そう“人生色々、お医者も色々”って、言ってる場合じゃないでしょう。ダジャレが昭和です!
陳:でも、何としてでも受けよう、という気持ちは分からないでもないんですよ。
--歯医者やのに歯切れが悪いですね。なんで、何としてでも受けようなんて、思うんですか。
陳:というのも昨年の医師国家試験の合格率は91.4%なんですが、現役医大生の合格率は94.4%。これに対して、一旦、浪人してしまうと54.5%と約半分まで落ち込んでしまうんです。実際には、それだけじゃなく、1年間の医師の収入が得られないばかりか、国試浪人の予備校は私立の医大より授業料が高いところもありますからね。
僕の大学の同級生も歯科医院を開業しないで、歯科医師国家試験の対策塾を開いてる人もいるくらいですから下手に開業するより儲かってるみたいです。
--それじゃ、今年は、歯科医や医師以外にも色んな国家試験会場でクラスターが起こりかねないのでは。心配です。
陳:実際にはちゃんと入場前に体温チェックとかするでしょうし、試験監督も様子を見ているので大丈夫だと思います。
--それにしてもオミクロンであちこちに感染者が出ているこの時期に、よくぞ、すぐに医院の消毒業者が見つかったものですね。
陳:いえいえ。それが消毒業者に電話してもすぐには来てくれなくて、何件も電話して、やっと2日後に見つかりました。夜でも構わないので、ナントかきょう来てもらえませんか?とお願いしても「すいません、九州に消毒に行ってるから今日は無理です」とか言われて、ホント、忙しそうでした。
--診療室の消毒、無事に終わって何よりじゃないですか。
陳:それがね、驚いたことが起こったんです。消毒業者が来るというので、診療室の鍵を開けに行ったら業者の1人が「陳さん、お久しぶり」って言われて。何で初めて消毒してもらうのに、と思ったら吉本興業の養成学校の3年先輩で元「満願」という漫才コンビで今はピンで活動されている“大ちゃん”さんでした。
--知らんがな、誰ですのん、その方?写真、見せられても分かりませんがな。
陳:銀シャリさんやジャルジャルさんやプラスマイナスさんとかと同期。以前、お笑いライブで何度もご一緒させていただいた先輩ですが、ご存じないですか?
--銀シャリもジャルジャルもプラスマイナスも知ってますが、さすがに大ちゃんは知りません。
陳:なんでもコロナ禍でライブとかも減ってるので最近、消毒のバイトを始められたそうです。いや、ホント、超久しぶりにお会いできて良かったです。ドラマ化されてもおかしくないような感動を覚えました。
--大げさな。そんなドラマ、誰も興味ありませんって。たいした内容もない話で騒ぐなんて陳さん、コロナと一緒に脳細胞まで殺菌消毒されたんと違いますか。せっかく次亜塩素酸の入った消毒液を診療室中に噴霧してもらい、安心して診療を再開できるんだから、しっかり治療してください。
(まいどなニュース特約・山本 智行)