娯楽だけじゃない、悪路走行可能なキャンピングカーに注目 災害時でも頼りになる一台

日本の国土の3分の2は森林と言われており、自然災害が起こるたびに孤立集落が発生するニュースは近年よく見聞きします。すでに日本国内の「孤立集落」になる危険がある地域は1万7千カ所を超え、集落全体の29.2%とも言われています。

災害時などで孤立集落が発生した際、必ず求められるのが電力などのライフラインのほか、居住空間ですが、こういった事態が生じた際の有効なものとして、近年サブバッテリー・居住空間双方を搭載したキャンピングカーの活用が注目されています。

各地方自治体とキャンピングカービルダー、業界団体などが災害時協定の締結を様々な形で結んでいるそうですが、しかし、キャンピングカーと聞くと、普通車同様の舗装路を走ることを前提としたものが日本では大半でした。このため、各団体が災害時での活用の準備していたとしても、前述のような孤立集落までたどり着けない、といったことも当然あり得ます。

こういったキャンピングカーをめぐる課題点を全てクリアすべく、災害復興支援団体「一般財団法人日本笑顔プロジェクト」と、日本特種ボディー株式会社が共同開発した超画期的なキャンピングカーがこちら。「EXPEDITION EAGLE」というモデルです。

従来のキャンピングカーと言うと、どことなく週末や休暇を優雅に楽しむような外見のモデルが多かったように思いますが、こちら、なかなか無骨でカッコ良く、アウトドアやキャンプファンにも支持されそうな外見です。今回は、この中身に迫りご紹介したいと思います。

■悪路走行可能な量産型キャンピングカーとしては日本初!

「EXPEDITION EAGLE」は、キャンピングカーというカテゴリーの中でも「エクスペディションビークル」という悪路走行もできる性能をもったもので、すでに欧米ではよく知られるジャンルのモデルなのだそうです。しかし、日本では輸入車や既存車両をカスタムする「エクスペディションビークル」が存在する程度で、今回の量産型は、日本初の試みになりました。

このモデルは、いすゞのキャンピングカー専用シャシーを使ったもので、同シャシーモデルとしては最大の発電力を搭載。また、車両全体の路面の追従性を高めており、車両の後端分とリアタイヤの設置面を結ぶ接線と地面との角度は、通常のキャンピングカーの2倍以上を確保。悪路でも安定した走行を維持できる仕様です。

■災害時の使用を想定し、居住空間部分は外履きのまま使用可能

また、キャンパーシェル(居住空間部分)の内装床部分の多くに、防水素材を敷きつめていることから、エントランスからマルチルーム、トイレに至るまで外履きのまま通ることもできます。

これらは全て、災害時の使用を想定したものだそうで、従来のキャンピングカーではあり得なかった構造で、従来のキャンピングカーファンだけでなく、災害復興支援団体なども無視できないモデルとなったようです。

■日本特種ボディーは、「EXPEDITION EAGLE」を1年間で100台の生産目指す

普段使いにはあまりある機能性を有し、従来のキャンピングカーよりもかなり抜きんでた印象のあるこの「EXPEDITION EAGLE」。冒頭でも触れた通り、このモデルは日本特種ボディーと、災害支援団体「一般財団法人日本笑顔プロジェクト」による共同開発によって生まれたものです。

「日本笑顔プロジェクト」に登録しているボランティアの方々の意見や、災害復興支援現場での過去の事例・課題などが多く反映され、かなりこだわりぬいた、機能性に富んだモデルに仕上がったとのこと。

気になる価格は、2WDモデルで895万円、4WDモデルで945万円と、普段使いの趣味用としてはそう簡単に手が出ないお値段ではありますが、その注目度の高さから日本特種ボディーでは今年、100台の生産を目指すそうです。1年間で100台といえば、おおむね3~4日に1台のキャンピングカーが生まれるという計算になりますが、このモデルをきっかけに、万一の災害時に役立つモビリティの進化がさらに広がることを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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