交通事故死の倍の年5000人 浴槽は住宅内で最も危険な場所 溺死防止に自動排水のシステムも

 2月6日は「お風呂の日」。この時期に怖いのがヒートショックなどによる浴槽内での事故。特に、高齢者は注意が必要です。そんな中、心拍と呼吸の異変を非接触センサーが検知する国内初のシステムが開発、導入され、話題になっています。安心の見守りサービス。大阪府吹田市にあるシニア向け賃貸マンション「Life Care Suita」を取材しました。

■浴槽内の心拍と呼吸の異変を非接触センサーが検知

 厚生労働省人口動態統計(令和2年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4724人。交通事故死亡者数2199人。ある程度は予想していましたが、2倍以上とは驚きです。

 そんな中、高齢者の入浴中の事故を防ぐことを目的に画期的なシステムが開発されたのをご存じでしょうか。大阪府を中心に有料老人ホーム「はっぴーらいふ」シリーズを運営する株式会社「ライフケア・ ビジョン」(本社・大阪市)は非接触センサーに着眼。最先端技術を使った見守りサービスを導入することになったのです。

 これは、ちまたで良く聞くICT(Information and communications Technology)やIoT(Internet of Things)技術を取り入れ、同グループが持つ介護ノウハウでアレンジした独自の見守りシステムで現在、特許出願中とのこと。溺死を防ぐための浴槽の自動排水機能などは専門の会社の協力も得て、共同開発したといいます。

 このシステムのすごいところはというと、入浴中の浴槽内で心拍と呼吸の異変を非接触センサーが検知し、アラートが発報されるところでしょう。アラートから20秒後に自動排水を行い、大事故になるのを防止。聞けば、異変時は満水からおよそ1分で排水が完了するそうです。

 さらに、同社が運営する見守りセンターでは、脱衣室に設置したナースコールを通じて声掛けなどの安否確認を行うといい、必要に応じて緊急通報などの迅速な対応がとられるそうです。

 実際には、これまで住民が事故にあったことはありませんが、住民に聞くと「一人暮らしでも安心して入浴できる」と好評でした。

■センサーは浴室だけでなく、寝室にも設置

 さらに、このマンションでは見守りセンサーを体調変化のおきやすい寝室にも設置。ベッド上で使用できるのが特徴で、マットレスの下に設置したセンサーが脈拍や呼吸をモニタリングし、異変がある時には見守りセンターに接続されることになっています。

 新規開発事業部長の近藤量行さんは「スマートフォンを活用し、今後ますます求められるオンラインでの買い物や、外出などの日常生活もサポートしていきたい」と話し、サービスの充実を目指しています。

 現在、このマンションではスマートフォンで住戸の施錠、解錠ができ、留守中の配達受け取りや家族の訪問時にも遠隔で対応。置き配ボックスも住戸ドア横に設置され、感染予防対策として非対面の荷物受取りが可能になっている。

 また、入居者専用のアプリも開発済みで、近藤さんは今後に向け「より充実した入居体験とコミュニティサービスを提供する予定です。加えて、リビングや外出先でも身体の異常検知ができるように見守りシステムをアップデートできればと考えています」とのことでした。

 その一方で、1階には厨房設備を備えた多目的スペースを解放。住民同士や家族、地域社会との身近な社会的交流の場となるなど、最先端のテクノロジーに加え、人と人とのつながりも忘れてはいませんでした。

 近未来を思わせるようなシニアマンション。一人暮らしの高齢者が安心、安全に住むことができる物件が増えることを期待します。

◇シニアアップデートマンション「Life Care Suita」

大阪府吹田市内本町3 丁目25-16/鉄筋コンクリート造地上8階建/総戸数42 戸(専有面積:27.92 平方m~31.35 平方m、1DK・1LDK) /月額料金:11万2千円~13万1千円(賃料・共益費・システム利用料込)※入居時費用:敷金・礼金0円(※ペット同居時のみ敷金として賃料の1カ月分)

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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