ガスコンロソムリエ「おわかりいただけただろうか」記者「わかりません…」 鑑定結果を製造元に聞いた
キッチンの大掃除のコツを説明するページに登場した2台のビルトインコンロ。「湯沸器や給湯器の観察」を趣味にしているというkebiyama(@kebiyama)さんが発した「よく見るとわかるんですが、ノーリツ製からリンナイ製のコンロへと取替えてますねこれ。」という驚異の鑑定眼ツイートにSNSがざわざわしています。よく見てもわからないので、名指しされた製造元に聞きました。
「油まみれのコンロはマジックリンパックでスルン落ち」の見出しの横に2台のコンロが並ぶ画像。ライフハックを紹介する雑誌のとあるページを撮影したものと思われます。
ビフォーアフター風なレイアウトに「わあ汚れが落ちてピカピカ」と喜んでいるのは素人です。コンロのみに着目し、ともに給湯器・ガスコンロ大手のノーリツ(神戸市)とリンナイ(名古屋市)を見分けたkebiyamaさんの鑑定に「プロのツッコミはレベルがちげぇ」「ツイ主『おわかりいただけただろうか』私『わかりません…』」「給湯器とか特定する変態の人だ…」「流石給湯器ソムリエ」「やっぱりあの人やった!」と、大掃除情報が頭に入ってこない様子です。
すごい…しかし記事にするには裏を取らねば、2社に画像を送って確認を求めたところ、「弊社製品で間違いありません」。kebiyamaプロの心眼、恐るべしです。
ノーリツによると、過去に販売していた「S-Blink duo」という製品で、ノーリツグループのハーマン(大阪市)が製造しました。五徳の形状やバーナーキャップ、天板の色味などが手がかりになったそうです。Twitterの小さなサイズの画像では五徳が円形に見え、当初は他社品にも見えたそうです。広報担当者が今回の取材の件を、厨房の商品企画を担当者に伝えたところ、以前からkebiyamaプロのツイートを注目しており、今回のツイートについても「なぜ、before/afterのbefore側(汚れたイメージの方)が当社品なんだろう」と話題になっていたそうです。
ノーリツの社員にとっては、ビルトインコンロの全体像が確認できれば、自社品、他社品の見分けは簡単だそう。展示会やカタログで他社品を見る機会が多い社員だと、五徳やバーナーキャップの形状の違いなどで、さらに詳しい判別ができるそうです。広報担当者は「kebiyamaさんは業界関係者なのでしょうか」と推しはかります。
なおリンナイにも質問を送りましたが、「画像の商品は当社品ですが、個別の質問への回答は差し控えます」とのことでした。
メーカーを震撼させる慧眼の持ち主のTwitterプロフィールを見ると、「毎週サザエさんに湯沸し器が登場するかどうかをチェックしており、一年間を通して湯沸器が登場しなかったのは2018年は3週、2019年は4週、2020年は4週だけでした。2021年は4/4が未登場でそれ以外は毎週湯沸し器が出てます」と博覧強記ぶりを遺憾なく発揮しています。
あれこれ詮索するのは野暮な話ですが、素顔が知りたく取材を申し込んだところ、「そっとしておいてください」と多くを語りませんでした。
給湯器とガスコンロのプロは孤高の人でした。
(まいどなニュース・竹内 章)