マックやカップ麺もいい思い出… 話題の管理栄養士「食から得られるものは栄養カロリーだけじゃない」
栄養面でとやかく言われがちなジャンクフードにも価値があるという管理栄養士の投稿がSNS上で大きな注目を集めている。
件の投稿とは管理栄養士として多方面で活躍する鈴木真美さん(@mamikoha2)による「マックやカップ麺…栄養的に色々言われますが
小さい頃母親が仕事帰りに『お昼マック買ってくね!』って楽しみに待ってた事とか
ラーメン食べきれなくて弟と小皿に取り分けながら美味しいって食べた事とか
沢山の思い出があって、食から得られるものってほんと栄養カロリーだけじゃないよなぁ」というもの。
近年、インターネット上では過度に"丁寧な食生活"を煽ったり、食品添加物を排除しようとする意見が目立っており、それに不安やプレッシャーを感じる人も多い。そんな状況下、鈴木さんのこの発信に対し、SNSユーザー達からは
「40年以上前、都内の病院に入院。抗がん剤で髪の毛もごっそり抜けて元々偏食で食も細い私の為に当時まだ田舎には無く珍しかったチーズバーガーを銀座まで買いに行ってくれた父親。今と違って全て単品で買えば750円は超えてた高級品。20歳は迎えられないと言われた私が大学生の母に。マクドナルドは神」
「ホントにそう思う…
ウチの母は基本、おやつも ご飯も手作り。美味しかったけど…
たまに『今日はマックにしちゃおうか!』『カップ麺にする!?』の日、小躍りするぐらいに好きだった
子どもは、栄養とか、手間隙かけた愛情とかわからんし。好きな味が食べたい物で、好物」
「管理栄養士さんがこんなこと言ってくれて嬉しい。何事も極論はよくないです。
うちの嫁さんも、今日昼マクドにする?て言うと喜びます!
まあ、昼食代浮くてのもあるけどね。
『おごるとはゆーてない』
『小さい男やなぁ』
と毎回ゆーてます」
など数々の共感の声が寄せられている。
鈴木さんにお話をうかがってみた。
ーーこの発信をされようと思ったきっかけをお聞かせください。
鈴木:自身が摂食障害経験者であるため摂食障害の方と関わる機会が多いのですが、多くの方が体重やカロリー、栄養価などの数字や、身体に良いもの・悪いものということにとらわれて食べることが難しくなっています。食事ってそういうことだろうか?と考えた時に昔のことを思い出し、私にとっての食とは何か?に気付きました。
みんなに伝えたいというより自分で気付いた、自分の感想をツイートした感じです。
ーー現在、SNS上では過度に思えるほど丁寧な食生活を追求し、インスタント食品や添加物を毛嫌いする層が見受けられます。そういった風潮に対し、ご意見やご感想あればあらためてお聞かせください。
鈴木:私にもそういう時期がありましたし、人それぞれ思うことややりたいことはあると思います。それぞれなので自分の意見を押し付けたり、他人を否定したりプレッシャーを与えるのは違うかなと思います。
周りから言われて、忙しくて大変なのにインスタント食品使うことに罪悪感持ったり「ちゃんとやらなきゃ」とストレスになってしまっている方も多いですが、食事はストレスを発散できる場、ほっとできる場であって欲しいと思うので、今自分が出来る範囲で楽して楽しめるように出来たら良いと思います。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
鈴木:まさかこんなことになるとは思いもしなかったのですが(笑)。たくさんいただいたコメントはどれも素敵な食の思い出ばかりで、読んでいるとすごく心があったかくなりました。食の思い出で泣ける本一冊作れそうな感じです。あらためて、家族や友人、今まで一緒に食事を共にしてくれた方々に感謝の気持ちが溢れました。
◇ ◇
読者のみなさんの中にも不安をあおるインターネット情報に惑わされている方はいないだろうか? 丁寧な食生活も良いが、過ぎたるは猶及ばざるが如し。なにごとも精神にゆとりをもって臨みたいものだ。
なお今回の話題を提供してくれた鈴木さんは、身体と食べ物についてや社会と自己とのつながりに興味を持つ人に向けて「からだのシューレ」というイベントを企画している。SNS上や公式サイトでも情報発信しているので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)