来年3月の「相鉄・東急直通線」開業に向け鉄道ファンが製作! 「相鉄直通関連の理解不能な路線図」が話題に
煩雑極まりない相鉄と他社の直通線を見事一枚に整理した路線図がSNS上で大きな注目を集めている。
「『相鉄直通関連の理解不能な路線図』完成しました。
3回ぐらい校正したけど、どっかしらは間違ってると思うので見つけたら教えて下さい」
とこの路線図を公表したのは鉄道ファンのしんめさん(@Shinchi_maid)。
従来の「相鉄・JR直通線」だけでなく来年3月には東急との直通線「相鉄・東急直通線」が開かれる相鉄。その煩雑な模様を整理して一つの路線図におさめたしんめさんの根気と情熱に、SNSユーザー達からは
「お疲れ様です
素晴らしい仕上がりです
こうして見るとネットワークが広く感じますね。」
「UTL・SSL繋げて秩鉄熊谷、総武快速千葉方面、熱海沼津下田方面、水戸方面黒磯方面、錦糸町接続中央線あったら最強ですねw」
「これ絶対に相鉄に売れますよ!」
など数々の称賛のコメントが寄せられている。
しんめさんにお話を聞いた。
ーーこの路線図を制作されようと思ったきっかけをお聞かせください
しんめ:調べたらちょうど2年前ぐらいに制作をはじめてますね……。
今は忙しくなってしまって辞めてしまったんですけど、当時友人と相鉄の時刻表の同人誌をつくっていて、相鉄+JRの路線図は完成していたんです。そこで東急とつながって西武や東武まで路線網の範囲を広げたらどんな図になるのか興味が起きたのがきっかけです。
上記ツイートの通り、暇つぶしも兼ねて作っていたんですが、想像以上に作るのが大変で途中で投げ出してから1年以上放置していました。ですがJRとの直通線開業について鉄道各社が7社局連名でプレスリリースを出した時に、作りかけの路線図があったことを思い出してツイートしたら300リツイートぐらいされて、「完成を楽しみにしてます!!」など心待ちにされてる方からのリプライを頂いたので「ここまで作ったんだし完成させるか!!」と思い制作を再開した感じです。
ーー制作にあたりこだわったこと、ご苦労されたことなどお聞かせください。
しんめ:最初に決めたのは「どこまで掲載するか」だったと思います。基本的に「線路を共有しあう範囲」を基準にしています。相鉄の車両は東急東横線に乗り入れて、東横線には西武秩父へのS-TRAINが走り、西武秩父線から秩父鉄道へ直通運転するみたいなイメージです。
たまに勘違いされている方がいますが、相鉄の車両が乗り入れる範囲というわけではありません。例外が3つあって、東武東上線は完全に小川町で系統が分断されていているのですが同一路線ということで注釈付きで掲載している点、秩父鉄道は乗り入れている本数が著しく少ないので乗り入れている範囲だけの掲載にとどめている点、そしてJRに同じ基準を当てはめると際限がないので横須賀線と湘南新宿ラインは線路を共有する範囲だけ掲載するに留めています。
苦労したのは英字表記です。各社で微妙にルールが違って、例えば掲載範囲の中に「〇〇公園」という駅が西武、東武、JRの3社にあるんですが、西武は「Shakujii-kōen」、東武は「Shinrin-koen」、JRは「Toda-Kōen」とちょっとずつ公園部分の表記が異なっているんです。武蔵小杉は同じ駅ですがJRが「Musashi-Kosugi」、東急は「Musashi-kosugi」と表記されています。反響の中で頂いた訂正点も半分ぐらい英字表記のミスでした。
ーー訂正版も公開されていますね。
膨大なエネルギーを注がれた今回の路線図ですが、相鉄に感じておられる魅力についてお聞かせください。
しんめ:私は相鉄から鉄道が好きになったのですが、一番の魅力は車種の多様性だと思っています。山手線はいくら待ってても同じタイプの車両しか来ませんが、相鉄は今も昔も7車種ぐらい運用していて、しかも同じタイプの電車でも見た目が全然違ったりするんです。高校時代は横浜駅で好きな車種が来るまで待って乗っていたりしました。東急への直通が始まれば、相鉄線内を走る車種は更に増えることになると思います。
あとは相鉄そのものがおもしろい事もたくさんあります。歴史的経緯の故とはいえ「相模」鉄道なのに本社は武蔵国にありますし、ファンには有名な話ですが今の鉄道部門を運営している会社は元きしめん屋です。昔は新型車両を製造するときに工場にわざわざお古の部品を持っていってつけてもらったり、今もそうにゃんのぬいぐるみを運転席に置いてもらったりと「そんな事する?」と思わせるようなことをしてくれるのも魅力かもしれません。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
しんめ:想定より多くの方から反応をいただけて正直驚いています。最初に「S-TRAINは菊名に停まらないよ」と「ツイート中の校正の文字が校生になってる」というリプライを頂いたときは「やっちまった~」という気分でしたが、どんどんリツイートが重なっていって「よく作ったな~」「美しい」とかのお褒めの言葉を頂いたときはとても嬉しかったです。「川越駅が対角線にあるのが面白い」とか「都内全部の板橋がつく駅に行けるようになる」とか「そういう見方もあるのか」と思いましたし、図中には池袋駅が5箇所に登場するのですが、3箇所や4箇所と言ってる方もいて「ちゃんと見て~」と思ったこともありました。中には「湘南新宿ラインや横須賀線もちゃんと書いてほしい」という意見もありましたが、欲しいものは自分で作ってみるといいと思います。
◇ ◇
相鉄自身でも困難そうなこの路線図制作をなし遂げたのは相鉄を愛する鉄道ファンの情熱だった。今後、相鉄の直通線を利用されるという方は、しんめさんの情熱に想いを馳せながら電車にゆられるのも一興だ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)