雇用情勢が不安定になっている現在、会社に勤めながら副業をしている人も少なくありません。最近では簡単に副業を探せるサイトもあり、利用者が増えています。しかし簡単に稼げる仕事というのは、トラブルが起きるケースもあります。ここではそんな副業トラブルに遭った、東京都在住の女性40代Aさんのケースをご紹介します。

■副業歴5年、だまされない自信はあった

Aさんは高校生の息子を育てる会社員のシングルマザーです。Aさんの勤めている会社は副業OKなので、5年ほど前から大手ソーシャルサイトを通して副業をしています。

Aさんが行っている副業は、アンケート入力を中心としたライティング作業です。自分が経験したお役立ち情報などを投稿することで、月に2～3万円ほどの副業収入を得ることができます。

多くの仕事を経験しているため、だまされない自信はあったというAさん。しかし先月、怪しげな仕事に足を踏み入れそうになったのです。

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ある日、ソーシャルサイトからAさん宛に「あなたへおすすめの仕事」という通知が来ました。

そこには「女性限定・在宅OK・初心者向き・長期安定収入」と書いてありました。女性限定の仕事というのは主婦のスキルを生かしたアンケートなどが多く、副業に向いていることが多いです。当時仕事を探していたAさんはさっそく応募してみました。すると翌日その会社から連絡がありました。

その会社の仕事内容は「新たな調理器具などの紹介記事を書く」というものでした。本採用前に、これまで使ってよかった調理器具について500文字くらいのテストライティングを依頼されました。

Aさんがさっそく記事を執筆し提出したところ、2日後に「採用」の連絡をもらいました。担当者の方は物腰の柔らかい対応で、記事に関しても的確な指示をくれるいい会社でした。しかも、シングルマザーの方がいたら積極的に採用していきたい、という理由から、女性限定で募集したそうです。

担当者の方もシングルマザーであり、Aさんは同じ立場の人から採用されたことにとても親近感を覚えたそうです。ぜひこの会社の戦力になって、いい記事を書いてあげたいと思ったと話してくれました。

■いよいよ本番の仕事内容は…

テストライティング後、いよいよ本題の記事に取り掛かることになりました。

すると相手は突然、大手通販サイトの名前を出し、執筆をするにあたり、Aさんのアカウント情報を教えてください、と言ってきました。

どういうことか戸惑い、さすがにそれはできないと伝えたところ、「当社は絶対に詐欺ではありません。当社で商品を購入し、その使い心地をライターさんに書いてもらうのが目的です。もちろん商品の購入費は当社が負担するので、あなたは☆5つの評価にし、使い心地がよかったということをたくさん書いてくれればいいのです」と言いました。

つまり、この会社はライターのアカウントを使って商品を購入し、嘘のレビューを書かせるという、サクラレビューを要求してきたのです。断ろうとすると「同じシングルマザーとして力を貸してほしい」と泣きつかれ、情に訴えかけて仕事を継続するよう頼み込まれました。結局「アカウントがなぜか表示されない」とごまかし、その会社とは縁を切ったそうです。

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後日、ソーシャルサイトでその会社を調べると「違反通告されています」という表示がありました。他の利用者が運営側に通報してくれたのでしょう。

さらにその会社を確認すると、サイトには会社概要も掲載されておらず、これまでの仕事に関する評価もありませんでした。今回はこうした背景を調べず、すぐに応募してしまったのもよくなかった、Aさんは反省していました。

Webでできる仕事は便利な半面、こうした怪しい仕事があるのも事実です。皆さんも仕事を引き受ける前には、取引先の会社の実態や評価などを調べ、「怪しい仕事」にはお気を付けください。

（まいどなニュース特約・長岡 杏果）