M-1決勝から1カ月、最もニュースになった芸人は 審査結果とメディア露出は必ずしも一致しない?
「一夜にして人生が変わる」といわれるM-1グランプリの王者。株式会社トドオナダは、3000以上のWEBメディアをモニタリングできるツール「Qlipper」のデータに基づき、M-1グランプリ2021決勝に進んだコンビ10組の大会前後1カ月のウェブニュース上の露出を分析しました。遅咲きコンビとして話題になった錦鯉の激増は当然のことながら、敗者復活と審査結果下位のコンビがメディア露出が増えていました。
■錦鯉の記事数は420%増加
M-1決勝戦後の結果は、記事数・仮想PV・記事ツイート数のいずれも、錦鯉がほかに大きく差をつけての1位。決勝の前と比べて、記事数・仮想PV・記事ツイート数いずれも380~400%の大幅な増加を記録しています。他の最終決戦進出者2組では、オズワルドが記事数と仮想PVが2位、記事ツイート数が4位。インディアンスは記事数と仮想PVが4位、記事ツイート数7位。増加率では、オズワルドもインディアンスも記事数で170%前後の伸びを見せました。
■審査結果は下位だったハライチとモグライダーが増加率上位
審査結果4位以下のコンビの数字を見ると、決勝戦の順位が高くても、その後メディアでよく取り上げられるとは限らないことがわかります。
審査上の順位とその後のメディア露出の乖離が最も大きかったのはハライチ。審査結果は9位でしたが、増加率は記事数で160%、PVで315%と、最終決戦3組に食い込む伸びを示しました。ニュースへの掲載という面では、審査結果よりも敗者復活戦のインパクトが強かったことがうかがえます。
同様に、審査順位とその後の露出の差が目を引くのはモグライダーです。審査結果は8位でしたが、その後の記事数の増加率は決勝進出組とハライチに次ぐ5位(159%)。記事ツイート数も5位で、増加率は3位の217%でした。
審査結果で最下位のランジャタイは、その後の記事数6位、仮想PV5位、記事ツイート数2位と、数字の上ではまずまずの結果に。審査結果4位と5位のロングコートダディとももは、例外的にももの記事ツイート増加率が2位の225%を記録しましたが、記事数・仮想PV・記事ツイート数のいずれも中位以下にとどまっています。
■M-1決勝戦前1カ月はどうだった?
M-1前に最も記事が多かったのはオズワルド。仮想PV2位、記事ツイート数3位と他の指標でも上位にいます。M-1優勝候補として注目されていたことが影響していますが、M-1以外でも「文春オンライン」の「好きな芸人」にランクインしていたり、「ダウンタウンDX」などの人気番組やイベントに出演していたりで記事が途切れず出ていました。
記事数・記事ツイート数2位のハライチは、M-1決勝戦は敗者復活からの出場のため、事前の記事はほかの話題が中心でした。テレビ・ラジオ番組出演のほか、澤部のTV番組出演ランキング上位入りや、岩井の著書のプレスリリース・記事が目立ちました。
記事数3位、仮想PV1位、記事ツイート数4位だった錦鯉は、M-1決勝戦進出が話題の中心。それ以外にも「有吉の壁」などの人気番組への出演、急上昇TV番組出演ランキング入り、自叙伝「くすぶり中年の逆襲」の発売とインタビューなど、記事になる話題は豊富にありました。PVは決勝戦前日に公開されたYahoo!ニュースオリジナルの特集記事によって非常に高くなりました。
記事数4位、仮想PV3位、記事ツイート数1位だったランジャタイは、記事のほとんどがM-1関連。決勝進出が決まった際にTwitterのトレンド1位となったことなど、大穴的な存在として注目されていました。記事ツイート数が多かった記事は国崎、伊藤がそれぞれ執筆したエッセイという点が、ほかのコンビと大きく異なる点でした。