マンションのベランダに胎盤のついたままの子猫たちを発見 生き残った子猫に「よっつ」と名付けた思い
■マンションのベランダに子猫が!
よっつくんは、2020年3月30日、マンションのベランダに産み落とされていた。住人が見つけた時、まだ胎盤がついていた。子猫は4匹いたが、母猫の姿は見当たらなかった。
大阪府に住む井上さんは、マンションの住人と同じ会社に勤めていて、子猫たちのことを相談された。保健所や市役所にも電話で相談したが、「殺処分されるかもしれない」とか「放っておけば母猫が迎えにくる」と言われて、困り果てていた。井上さんは3匹目に迎えた猫Meiちゃんを譲渡してもらった保護団体「とよなか猫のかぎしっぽ」やミルクボランティアに相談。団体が世話をしてくれることになり、友人に車を出してもらって団体のシェルターまで子猫たちを運んだ。
その日、井上さんは会社で仕事をしていたが、上司に事情を話して特別に保護団体まで行くことを許可してもらった。かつて子猫を会社で保護した時、業務中だったので仕事が終わってから保護に向かったら、既に兄弟は亡くなっていて、1匹だけが生き残っていた。同じことを繰り返したくない、その思いでいっぱいだったという。
■生き残った子
友人の車で子猫たちを保護団体に連れて行ったが、まだ胎盤がついたままだったので、気分が悪くなるほど車内に悪臭が漂った。折り重なるようになってか細い声で鳴いている子猫たち。井上さんは、「どうか助かりますように」と祈った。
子猫たちを団体に預けて一安心。会社に戻ったが、その日の夜に1匹、次の日の朝に1匹、その次の日に1匹、子猫たちは亡くなった。最後に生き残ったのがよっつくんだった。
よっつくんは2ヶ月間、保護団体でボランティアに育てられた。井上さんは、ミルクボランティアさんのインスタグラムやYouTubeを欠かさず見て、「我が家で引き取りたい」と伝えた。
5月30日、ボランティアがよっつくんを連れてきてくれた。「到着したらまず水をガブガブ飲んだのですが、その姿が可愛すぎて、いまだに覚えています」。よっつあった命がひとつになってしまい、いや、ひとつの命の中によっつ分あるこの子の命を大切に、しっかり生きてほしいという思いから「よっつくん」と名付けたそうだ。
■バラバラだった先住猫たちが一緒にいるように
先住猫の中でも長老のミルちゃん、カルちゃんはよっつくんを遠くからながめているだけで無関心だった。Meiちゃんは、部屋の奥へ逃げてしまったので、猫にまかせて見守るしかなかった。
すると、3日目にMeiちゃんが、よっつくんをペロペロ舐めてグルーミングし始めた。「その時の感動は一生忘れません。だんだん追いかけっこしたり、じゃれあったり、生活をともにするようになりました」
よっつくんは、いたずら好きで甘えん坊。どの子とも仲良くできるので、よっつくんが来てから、4匹で1箇所に集まることが増えてきたという。それぞれ性格は違うが、井上さんはとても幸せなんだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)