異常がないのに心臓病に似た症状が?…もしかしたら「心臓神経症」かもしれません
コロナ禍でストレスを溜めたり、不安な気持ちを抱えたりしている人は多いと思います。コロナ時代になり、増えつつある疾患に「心臓神経症」があります。
心臓に異常がないにもかかわらず、胸痛があったり、動悸がしたり。息切れや呼吸困難、めまいなど、心臓病(循環器症状)に似た症状に見舞われるのが大きな特徴です。
原因はストレスや過労、極度の不安など。人によっては「もしかして自分は心臓病かもしれない」と気にするあまり、心臓病とよく似た症状を生み出している人もいます。ちなみに、ストレスや不安感などがあると、心臓の働きを活発にする交感神経が刺激され、結果、心拍数が増え、血圧が上昇し、動悸も激しくなるようです。中には発作まで起こして、救急車で運ばれる人もいます。
心臓病とほぼ似た症状なので、大半の人が循環器科を受診しています。症状だけでは判断がつかないため、胸部X線検査や心電図など一般的な心臓病の検査を行います。また、多くの患者が訴える胸痛に関しては狭心症などの症状とも似ているのでその有無も調べることになります。すべての検査結果が「異常なし」と出て初めて、心臓神経症と診断されるのです。
心臓神経症ならば、ストレスや疲労、不安などが原因なので、心臓病とは異なった治療方法になります。
症状が緩和されないときは、心療内科などの診察が必要になってきます。症状を改善するには、不安と緊張を和らげることも重要になってきます。不安を取り除いていく「認知行動療法」なども治療法に取り入れたりもします。症状が強い場合は精神安定剤や抗不安薬などを用いることもあります。素人判断は難しいので、症状があれば、早めに受診してください。
◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。