バッシングされた「男・山根」が苦境の漁師町を救う 朝市の立て看板に起用の理由とは? 担当者「見た目は怖いが…」

 「男・山根」こと日本ボクシング連盟第12代目会長の山根明さん(82)がカニの広告塔になった。高級ガニ「柴山GOLD」などで知られる兵庫県香美町香住に設置された施設案内板のセンターを堂々ジャック。水揚げの減少による価格高騰が伝えられる中、存在感抜群の男は「とてもおいしい。みなさんもぜひ、食べに行ってみてください」とPRしている。

 昨年末には人気テレビ番組「千鳥の相席食堂」(ABC系)のロケで山口県岩国市へ。実は幼いころ、太平洋戦争のため、実家のあった大阪府堺市から疎開した場所でもあり、郷愁を感じたそうだが、カメラが回ると、類いまれなスター性を発揮した。

 1月25日に放映されると大好評。名勝、錦帯橋の上で突然シャドーボクシングをおっぱじめたかと思えば、ソフトクリームをほおばりながら「おいし!」とドスのきいた声で食レポを展開。素直でトリッキーな言動に、MC役の大悟とノブも「おもろすぎる!」と時折、イスから立ち上がり、大笑いするほどだった。

 今回、かすみ朝市センターの立て看板に起用されたのも、そんな存在感を買われてのものだ。担当者は「何と言ってもインパクトの強さ。それが一番です」と断言。「見た目は怖そうだけど、会って話せば、いい人だとすぐ分かる。礼儀正しく、気配りがすごい。バッシングされた後もコンスタントにテレビに出ているし、話を聞いていると人間性が伝わってくる」とオファーを出した理由を明かした。

 一方の山根さんは「相手さまが決めることですが、看板の真ん中に写真付き。感動しました。バッシングの後やさかい、余計にうれしい。お金では買えないプライドをもたらしてくれているし、真っ直ぐに生きて良かった」としみじみ。カニ大使として「今年は雪が多くて、看板の設置も遅れたそうですが、カニのシーズンはまだまだ続きます。機会があれば、ぜひ足を運んでください。おいしいですよ」とPRした。

 両者のつながりは3年以上とか。昨年11月7日、「冬の味覚の王様」松葉ガニ解禁に際しては、柴山港初ゼリ史上最高値の222万5670円で落札。これには「2022年はコロナがゼロになりますように」という願いが込められており、スポーツ報知には「コロナをノックアウト!」という山根さんの吹き出し付きで掲載されていた。

 もっとも、現場の状況は厳しい。長引くコロナ禍に加え、漁師やセコガニの減少、さらにしけの影響などが絡み、松葉ガニの今シーズンの漁獲量は過去20年で最低レベルだとか。それでも水産加工業者や観光業者からは一定の需要があり、例年の2、3倍の高値がついているという。

 地元の観光業者は「県民クーポンなどの効果もあったが、ここのところの大雪で壊滅状態」と嘆くほど。「採算が取れないところはロシア産の冷凍ものを提供しているところもある。カニをたらふく食ったと言う人がいたらロシア産かもしれません」と指摘した。

 シーズン終了は松葉ガニが3月20日、ベニズワイガニが5月末となっている。ピンチをチャンスに。地元は男・山根のパンチ力に期待している。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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