コロナ禍でも安心安全のライブを大阪・舞洲で開催 入場→鑑賞→退場まで一貫「ドライブイン」方式の可能性
新感覚のライブイベント「AMAZING~光と音の舞う洲~」が2月20日、大阪市此花区の舞洲スポーツアイランドで開催され、エンタメ業界から熱視線を送られた。というのも入場→鑑賞→退場まで車内で完結する画期的なドライブインエンターテイメントショーだったため。あくなき挑戦を続ける株式会社「Try Hard JAPAN」(本社・大阪市)がwithコロナ時代に向け、一石を投じたものだ。
エンタメの灯は消さない。気温2度。凍てつく寒さの中、今後に向けて大きな一歩を刻んだ。今回、開催にこぎ着けたライブイベント「AMAZING~光と音の舞う洲~」は”浪速の風雲児”として挑戦を続ける株式会社「Try Hard JAPAN」が総力を結集したもの。コロナ禍でも安心安全に大型イベントを楽しめるように入場から鑑賞、退場までを車内で完結できるように工夫した。
入場に際しては検温と問診票の提示を求め、指定されたエリア内では自由行動を認めた。会場内には、フードトラックも用意。入場料金は1台3万円の予定を出血大サービスで5500円へ。当日は300台が集まった。
「舞洲という人工島のお陰もあり、何とか無事に開催することができました」と主催者は話したが、演出もド派手だった。花火と効果音とまばゆいレーザー。これにDJが最先端の楽曲を加え、相乗効果を生んだ。和泉市から訪れた30代の女性は「大満足。やっぱりライブはいいですね。気がついたら寒さを忘れて、飛び跳ねちゃいました」と息を弾ませた。
午後7時のオープニングではTRAinnovationによる和太鼓の重低音が響き渡り、来場者をお祭り気分へいざなった。続いて大阪出身で全国区の人気を誇るアーティストMC TYSON、SOUTH BLUEがライブを披露。さらに、プログラムの後半はデビュー曲「ALIVE」で知られるYAMATOMAYAら有名DJが登場し、会場内は最高潮へ達した。
まさに、音と光の舞う空間。楽曲に合わせ、約0.03秒のタイミングでシンクロする点火システムが使われたことで、炎と色鮮やかなせん光が交り合い、幻想的な世界が描かれた。茨木市在住の20代女性は「コロナが心配でしたが、車だと不特定多数にならないし、寒さも平気。安心安全で快適でした。この感じなら今後も期待大です。最後は雪が舞い、感動的でした」と満足顔だった。
もっとも「Try Hard」グループが積極的に仕掛けたのは何も今回に限ったことではない。昨秋には周囲が同調圧力に押され、中止や延期を早々を決める中、粘りに粘った末に音楽フェス「MUSIC CIRCUS21」を開催。もちろん、感染症対策、安全対策にも取り組み、閉塞感をなんとか打破しようとするエンタメ業界において先駆的な役割を果たしている。
実は開催前日は暴風雨という生憎の空模様。スタッフは会場設営のため、ぬかるんだ会場を長靴で歩き、人力での作業は朝方まで続いたという。しかし、苦労は報われ、雨予報だった当日は晴れ、あれだけ吹いていた風も収まった。もし、風速11メートル以上だっ場合は規制により、花火もドローン撮影もNG。まさにギリギリの状況だった、という。
「自分たちの行動に誇りと信念を持つ。それを全員が信じて取り組む。今回の新たな試みをしたことで、多くのお客様から感動の声をいただくことができました。人の心に感動を届けたい。私たちは信念を持ってこれからも挑み続けます」と大付楽洋代表は力を込めた。
エンタメの灯を消さないために。もちろん、油断はできないし、感染症対策はおろそかにできない。しかし、今回のイベント開催はwithコロナへ向け、ひとつの方向性と可能性を示したのではないか。
(まいどなニュース特約・山本 智行)