中学受験したくないのに…深夜まで勉強を無理強いされるなんて、おかしくない?【チャレンジ!こども六法練習帳】

小学生のあなたは、親から無理やり中学受験をするように言われ、夜遅くまで勉強をさせられています。日々体調も悪く、友達と遊ぶ時間がほしいと思っていますが、状況を変えるためにはどうすればいいと思いますか?

子どもがいじめや虐待などから身を守る際に役立つ法律の知識を、分かりやすく解説し、ベストセラーとなった話題の児童書『こども六法』に、このほど発展編として「学習ドリル」バージョンが誕生しました。題して『こども六法練習帳』。学校や家庭で直面する困ったトラブルを「練習問題」として取り上げ、ワークシートに書き込むように解いていくうち、「法律の使い方」が学べる内容といいます。書籍の中から抜粋して紹介します。

【練習問題…どうすればいい?】

リスさんは、中学受験をしたくないのに、親に毎日塾に行かされている。テストの点が悪いと怒られて深夜まで勉強させられるので体調が悪い。遊ぶ時間もないので、友達の輪に入れない。

■教育虐待の可能性も 自分の幸せは自分が決めていい

【ヒントと解説】

親がこどもに勉強をさせたがるのは、こどもの将来にとって良いことだと信じているからです。ただ、こどもを本当の意味で尊重するのであれば、こどもの「勉強したくない気持ち(遊びたい気持ち)」と親の「勉強させたい気持ち」を上手に調整していかなければなりません。親の気持ちだけを一方的に押しつけてしまうのは、こどもの自己決定権(日本国憲法第13条)を不当に制約することにも繫がります。

リスさんの場合、中学受験をしたくないのに毎日塾に行かされ、時には深夜まで勉強させられて、体調を崩しています。友達の輪にも入れないでいます。リスさんの心身の健康や、友達関係を築く経験をするという意味での成長の機会が奪われているといえるでしょう。こうした親の行為は、いわゆる「教育虐待」にあたる可能性があります。

教育虐待は、法律上の「児童虐待」(児童虐待の防止等に関する法律第2条)に含まれるとは限りませんが、児童虐待に近い問題として、近年注目されています(児童虐待の防止等に関する法律第3条/ 日本国憲法第19条※)。

あなたが、もし日常生活に支障が出るほど勉強させられている場合、その状況について親子で見直してみる必要があるかもしれません。

【条文紹介】

※「日本国憲法第19条」

▽思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

…親が子どもの成長や進学に理想を抱くことは思想良心の自由で尊重される範囲ですし、こどもと目標を共有できれば、その理想に向かって親子で協力し合うこともできるでしょう。

一方、自分の人生の理想を自分で抱く権利や自分の道を自分で選択する権利はこどもにもあります。親が「よかれ」と思っても、一方的に理想を押し付けるのではなく、よく話し合って、お互いの理想をバランスよく叶えていけるといいですね。

  ◇   ◇

教育研究者の山崎聡一郎さんと、弁護士の真下麻里子さんによる『こども六法練習帳』は永岡書店刊。192ページで1400円(税抜)。巻末では、実際にトラブルに遭遇したときの相談先なども紹介。証拠を残すためのメモや日記のとり方や「助けを求める手紙」の書き方などを、空欄に書き込むことですぐに使えるテンプレートとあわせて紹介しています。

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