SDGsマルシェが高校で開催 ペットボトルのランプシェード、猪肉のハンバーグなど販売しアイデア出し合う
日本では「SDGs」という言葉がすっかり定着し、SDGsを意識した活動が盛んだ。しかし、実際にどう取り組めば良いかわからないという人も多い。先日、大阪市天王寺区のクラーク高等学院天王寺校で、「SDGsマルシェ」が開催された。学生たちの取り組みと、半年にわたって学生を指導した則直(のりなお)豪さんに話を伺った。
■命のロスをなくす、すべて活かす
「SDGsマルシェ」とは、SDGsについて学び、考えたアイデアを出し合った生徒たちが主体になった初の催し。生徒たちは「今まで捨てていたキャベツの芯や、葉の軸を刻んで食べるようになった」「リサイクル商品を気にするようになった」と、自分の意識の変化を教えてくれた。
各ブースには、ペットボトルを利用した美しいランプシェードの制作・展示や、SDGsを学びながら遊べる、手作りのボードゲームもあった。
さらに、寝屋川市の「Natural Diningわしん」のオーナーの手作り猪肉ハンバーグや、交野市の「ルラシオンデュクールアミエル」が酒粕を使って作った酒粕マドレーヌ「雫」が並んだ。販売したのは生徒たちだ。
わしんのオーナー、田辺誠さんは「日本料理は、昔から調理する食材は全て使い切るのが原則。仕込みで出る野菜くずも、害獣として駆除される猪も、すべて活かすという考え方です。命のロスをなくしたいという想いが、生徒たちと共有できた」と語る。
今回、則直さんと共にSDGs活動に取り組んだ同学院の山本航平先生は、今回初のマルシェの準備に当たり、「飾りつけひとつにも、この素材はのちに活用できるかなど、常にSDGsを意識した」と話す。SDGsを“自分ごと”として考え、理解を深める機会になったそうだ。同学院で半年間、週に一度SDGsの授業を行ってきた則直さんは「生徒たちが自身の頭で考え、アイデアを自分の言葉で紡ぎ出すことが大切」と語る。
■SDGsで地域の企業、自治体、教育機関をつなぐ
則直さんは、SDGsの導入や推進を支援する「D4L」(兵庫県神戸市)代表だ。幼稚園へ通う子どもの未来を想像したとき、「この子たちに快適な未来を残したい」と約1年前からSDGsをテーマに、地方自治体と企業、そして教育機関と連携して、未来に続く町づくりのために活動している。地域が抱える課題を行政、企業、教育機関と、一枚岩で変えていくのが狙いだ。
例えば、農家やメーカーなどの地域企業で、SDGsをテーマに商品開発、リブランドを希望するところと社会課題を考え、その企業が無理なくやれる商品作りをサポートする。
「せっかく開発する商品が売れなければ、企業や地域に還元できませんから、強力な専門チームを用意します」
教育機関は主に高等学校。SDGsの基本から学び、地元でSDGs商品開発を行う企業を参考に、話し合いで学びを深める。また将来、進学や就職で都会へ出ても「自分たちの故郷がどうなればUターンしたいか」と、未来設計まで考えてもらう。
「地域の人をつなげ、将来、財産として引き継がれるような仕組みを提案し、持続的な産業に成長するようサポートする」という則直さん。現在、高校での授業は徳島県三好市と香川県坂出市、そして今回の大阪市天王寺区で実施している。
■地域で繋がったら、次は都市部と
商品が生まれたら、次は地域外の流通量の多い都市部で販売。都市部へ販路を広げる狙いは、その地域の出身者やその土地のファン、また活動に共感する人たちによる消費の輪の拡大だ。そうやって一過性の商品ではなく、地域ブランドとして根づかせる。町が豊かになれば、将来住みやすい町に変わるだろう。
「他の自治体からもお声掛けいただいているので、今年はその地域とも連携していきたい」と意欲的だ。
(まいどなニュース特約・國松 珠実)