ドン・ファン元妻らが5千万円詐取で書類送検 拘置所で接見禁止の理由とは?裁判は来年か 元刑事犯罪ジャーナリストが解説
和歌山県田辺市の資産家で「紀州のドン・ファン」と称された酒類販売会社元社長、野崎幸助さん=当時(77)=が2018年5月に急性覚醒剤中毒で不審死した事件に関連し、野崎さんが経営していた会社の資金約5千万円を共謀して詐取したとして、和歌山県警は詐欺容疑で元妻須藤早貴被告(26)=殺人罪などで起訴=や3人の弁護士ら計5人を今月4日付で書類送検した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は10日、当サイトの取材に対し、須藤被告が詐取した疑いのある金額と逮捕前の行動との関連性、現在も拘置所内で接見禁止になっている背景を解説し、注目される裁判は来年になる見通しを示した。
須藤被告は18年7月、野崎さんが生前に経営していた金融業などの2社の代表に就任したが、昨年9月に破産手続きの開始を決定。関係者によると、弁護士3人は野崎さんの不審死や遺産を巡る対応で須藤被告と契約を結んでおり、書類送検されたもう1人は、野崎さんの経営する会社と契約関係にあった公認会計士。県警によると、18年9月、野崎さんの会社から須藤被告ら名義の口座に5千万円を送金、だまし取った疑い。
小川氏は「(野崎さんの不審死から)逮捕まで約3年間あったが、その間、須藤被告は何度も引っ越しを繰り返し、逮捕前は品川区のタワーマンションに住んでいて、高級外車も2台乗り換えていた。生業を持たないで生活してきた須藤被告は、野崎さんの生前は月100万円をもらっていたが、死後はなかったわけで、この3年間、海外旅行にも何度も行っていましたし、それ相応のお金が必要になりますから、その出どころがこれ(会社の資金詐取)だったのかなということが改めて分かった次第です」と指摘した。
須藤被告は昨年5月、和歌山地検に殺人罪と覚醒剤取締法違反罪で起訴されたが、まだ裁判は始まっていない。
小川氏は「現時点で、まだ公判前整理手続き中ですが、本人は黙秘をしているということで、供述が変わったと言う話は聞いていません。通常の裁判員裁判の事件というのは、起訴されて1年以内に裁判が始まることはまずないです。これまでの事例を見ても、2年くらいかかることを考えると、年内の初公判はないのではないかと思われます。裁判が始まれば、3か月くらいで終わるのですが…」とし、裁判が来年になる可能性を挙げた。
その上で、同氏は「須藤被告はいま現在、拘置所に入っているが、まだ接見禁止なんです。これはレアケースで、起訴されて拘置所に入れば接見禁止が解かれ、面会もできるのですが、弁護人以外は接見禁止であるということは、須藤被告に『証拠隠滅の恐れがある』と検察官が判断し、裁判所に接見禁止の申し立てをしているのだろうと考えられます」と推測した。