日本で言うところの銭湯? アメリカで根強く愛されるミニシアターの魅力
日本で言うところの銭湯のようにアメリカで根強く愛されるミニシアターの存在がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは企業の研究者としてアメリカに滞在するあひるさん(@5ducks5)の
「アメリカには定員数十人の小さい映画館があって、そこでは古い映画が繰り返し上映されてます。先日アメリカ人同僚に『ネトフリで古い映画は自宅で観れるのに、なんで小さい映画館もまだ人気があるの?』と聞いたところ『日本人も自宅に風呂があるのに銭湯が好きだって聞いたぞ』と返されて秒で全てを理解できました。」
という投稿。
「映画館派の人にとっては映画は観るだけのモノではなくて『映画館で映画を観る』というコトなんですね」と分析するあひるさん。たしかにアメリカは映画文化を生み出した国。それにかける思いは日本人にとっての風呂に近いものがあるのだろう。
あひるさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「その🇺🇸友人の造詣の深さと洞察力凄い👀
そうそう、結構新し目でもすぐに格安映画館に移るから貧乏学生や映画好きにとっては最高で、🇺🇸人にとって映画が本当に生活の一部だ思い知らされました。
けど、銭湯♨️の例えはすごい!」
「昔自衛隊の真駒内駐屯地と言う所に進駐軍の建てた映画館があって、まるで50年代のアメリカ映画館でした。スクリーンなんか継ぎがあててあるんですけど、木製の椅子、タイル張りのロビー、映写室の入り口の金のレタリングなど最高の空間でした。映画館で観るってのは特別ですね。」
「なるほど。
僕だと、通販とか電子で買える時代になっても本屋に通ってるような感じか。
本屋で棚の中から探し出すのが好き。
指先でポチポチやるだけじゃ、どうにもダメなんだよな。」
など数々の共感のコメントが寄せられている。
あひるさんにお話をうかがってみた。
ーーこのようなタイプのミニシアターはアメリカではまだまだメジャーな存在なのでしょうか?
あひるさん:郊外には大型のシネコンがよくありますが、都市部ではまだまだミニシアターを見かけます。しかし年々数が減っているのは間違いなくて、その辺りのノスタルジックな感覚も日本の銭湯の存在に近いのかなと感じました。
またアメリカの映画館は鑑賞中に叫んだり大笑いしたり拍手したり、昼間だと子供たちがスクリーンの近くを走り回ったりしていて、エンターテイメント色が強く、みんなで騒ぎながら鑑賞するようなパブリックビューイング的な位置付けなのかなとも感じています。
また私の周りではバーが併設されているミニシアターが多くて、これは銭湯よりは足湯というか、フラッと立ち寄った人が気楽に楽しむようにも感じました。もちろん予約は要りません。
ーー日本とはずいぶん違う文化なんですね。あひるさんもこのタイプのミニシアターによく行かれるんですか?
あひるさん:出張中などで1人で暇を持て余している時にはよく行きます。大型のシネコンで新作映画を観る事もありますが、こういうミニシアターではバットマンなどの古い名作が上映されている事が多く、知ってる映画館だと隅々まで注意して観る必要は無いので、それもリラックスして楽しめる要因かなと思います。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
あひるさん:日本語のリハビリにと2年前に始めたツイッターですが、先日今までの総インプレッションが2億を超えました。このツイート以外にも多くの反響があったりと、SNSの拡散力は面白いなと、またそれと同時に注意が必要だなと日々思っています。
◇ ◇
昭和の最盛期には2万3千軒を数えたという銭湯も今では4千軒を割り込んでいる。アメリカにおけるミニシアターもそれに近い境遇にあるのかもしれないが、こういった施設はその国や土地の文化を育み、映し出す貴重な存在。ぜひこれからも長く人々に愛されてほしいものだ。
なお今回の話題を提供してくれたあひるさんはこれ以外にもTwitter上で日常生活での出来事や感じたことなどを、面白おかしく切り取って140文字で表現している。いずれも新鮮な発見の中にクスッとした笑いのある素敵な投稿ばかりなので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)