京都の山中で捕獲された犬 壁に張りつき震えていたね 1年後には「猫ギャラリー」の看板犬に
『Gallery GEORGE』は京都・山科の住宅街にあります。ほぼ“猫専門”の小さなギャラリーで、月に一度、猫の絵画や彫刻、猫にまつわるハンドメイド作品などを展示する『ねこ展』を開催。全国から集まった作家たちの作品が並びます。ギャラリーのシンボルマークになっている“店長”は白黒猫のジョージですし、店頭にはオーナー夫妻に保護され里親募集中の保護猫もいる“猫づくし”のギャラリーですが、看板娘はなぜか猫ではなく犬。ランカちゃんという甲斐犬の血を引く犬が、その愛らしさと人懐っこさでお客様を魅了しています。
ランカちゃんは2019年夏、京都・八幡の山で捕獲され、京都動物愛護センターに収容されました。
「やせ細り、ノミ・ダニだらけで、フィラリア陽性だったそうです。犬歯が削られていたので、猟犬として飼われていて捨てられたのかもしれないとセンターの方が言っていました」
そう話すのはGallery GEORGEのオーナー・hitoshinaさん。子供の頃、犬に嚙まれたことがあり、どちらかといえば犬は苦手でした。そんなhitoshinaさんがなぜランカちゃんを迎えることになったのでしょうか。
「ツイッターを見ていると、“殺処分の期限”が書かれた犬の情報が流れてくるんですよね。つらいから見ないようにしていたんですけど、目に留まった犬がいて。山口の子だったから迎えに行くつもりだったのですが、問い合わせたら『元野犬で首輪を着けるのも難しいから、初心者には無理』と言われて断念。でもそこから火が付いて、保護犬を迎えたいと思って京都のセンターに行ったんです」(hitoshinaさん)
お目当ての犬は別にいましたが、壁に張り付くようにして震えていたランカちゃんが気になって…。
「自分と重なって見えたんです。それで、この子なら大丈夫じゃないかと。私は犬を、ランカは人を、一緒に克服していければと思いました」(hitoshinaさん)
2020年2月のことです。当時、獣医師からは「推定7~8歳」と言われたランカちゃんですが、2年たち、今の毛並や足取りを見るともっと若そうです。
■ギャラリーのお客様を全力で歓迎!
hitoshinaさんの本業は庭師。その傍ら絵を描き、現在ギャラリーのある場所はアトリエとして利用していたのですが、ランカちゃんを迎えるにあたり全面リフォームしました。そこをランカちゃんの“居場所”にするためです。家に来た当初はセンターと同じく壁際から離れず、ごはんも食べられなかったそうですが、徐々に慣れ、1年後にギャラリーをオープンさせてみると、実は「人、犬、猫…みんな好き」(hitoshinaさん)だと分かりました。
「もしランカのストレスになるようなら、ギャラリーは閉めようと思っていたんです。でもお客様が来ると全力で歓迎しますし、子供が好きで、近くの小学校の登下校時にはずっと外を見ている。ランカのファンは多くて、ランカに会いに来てくださるお客様もいますし、子供たちや近所の方にもかわいがってもらっています」(hitoshinaさん)
とはいえ、本来は猫好きが足を運びたくなるギャラリー。犬が苦手なお客様もいるかもしれないので、最初はリードで繋いでおいて、大丈夫と分かれば放すのだとか。すぐにランカちゃんが来て甘えてくれますから、Gallery GEORGEは犬好きも楽しめる“猫ギャラリー”なのです。
3月の『ねこ展』は21日(月)~26日(土)に開催予定。作品の売上の10%が猫の保護活動のため作家さんからギャラリーに納められます。猫好きさんも犬好きさんも、ぜひ!
(まいどなニュース特約・岡部 充代)