彼女「終電、行っちゃったね...」 彼氏「…???」 大学院生の多忙ぶりを物語るネタツイートに共感の声
大学院生の多忙ぶりを物語るネタツイートがTwitter上で大きな注目を集めている。
「彼女『終電、行っちゃったね...』
限界大学院生彼氏『……???(いつも研究室に泊まっているのでよく分かっていない)』」
と件のネタを投稿したのは京都大学工学部1回生の周回積分さん(@con_integral17)。
周回積分さんは20年ほど前に大学院に通っていた父から聞いた話を元にこのネタを考えたということ。実際に大学院生を経験した人々にとってこのネタはなんともリアルに感じられるようで、投稿には
「大学院生って普通研究室に寝泊まりしているのでは?
あれ限界だったの?」
「毎日大学に居るのに、週に2回しか登校していない、という謎。(私の場合)」
「院生の頃、デート終わりは彼女のことを彼女の研究室が入っている建物へ送って、そこから彼女は実験&泊まりというのは珍しくなかった。なので、終電って何?というのは、敢えて言うと男の私が言われる立場だった」
「彼氏『僕の研究室にでも泊まっていくかい?』
彼女『あ...遠慮しとく。私達別れましょ』」
など数々のコメントが寄せられている。
周回積分さんにお話を聞いた。
ーーお父さんから当時の大学院生の話を聞いてどう思われましたか?
周回積分:小さい頃から研究者を目指していたので、父からよく大学院での話を聞いていました。小さい頃は研究の面白い話などが多かったのですが、高校生大学生になってからは大学院生が忙しい生活を送っていると耳にするようになり大学院生の研究生活について父に尋ねました。
父の研究室では学費を稼ぐために日中はバイトをしなければならならず、仕方なく実験を深夜にやっていた院生や、実験装置が限られていて夜中に研究室に泊まって実験する院生が多かったようです。
大学院生は研究が大好きで四六時中研究に集中したいがために研究室に泊まっているのかと思っていましたが、人それぞれ事情があるのだなと思いました。
ーー今回の反響、コメントへの感想をお聞かせください。
周回積分:研究室に泊まるかどうかは人それぞれなのだなと思いました。それよりも「それほど忙しい大学院生に彼女が出来るのか?」というようなリプライや引用リツイートが多くて将来彼女出来るのかなぁと心配になっています(笑)。
◇ ◇
2006年から2008年、2010年から2013年にかけて大学院生生活を送ったミュージシャンのドクター赤松さん(@bee_hmdx)にもお話を聞いた。
ーー現代の大学院生たちもこんなに忙しくしているのでしょうか?
赤松:分野によって違いはありますが、今でも総じて忙しいと思います。ただ、理系の場合は実験機材の関係もあって研究室に張り付くということが多いと思いますが、文系の場合はそのような縛りはあまりなく、また学校によっては研究室が院生に24時間開放されているわけではない場合もあるかと思いますので、その点の違いはあると思います。
他方で、研究室や研究科によっては学振の取得支援や受託研究費から給料を支払うなど学生の財政面を積極的にサポートするところも多く、その場合バイトに追われるということはありません。私はこのタイプで、先生から研究員として給料をもらえていました。
ーー周回積分さんのネタを見た感想をお聞かせください。
赤松:時代もあると思いますが、今より先生からのサポートが薄かったり、受託研究といった形で資金を得ることが難しい分野なのかな?そういったことがあまり盛んでない時代なのかな?という印象をうけました。
ただ、今でもこのように深夜に研究室にはりついている工学系の院生はいるので、景色としてはあまりかわらないのかなとも思いました。
ーー赤松さんご自身の院生時代の忙しかったエピソードをお聞かせください。
赤松:私の研究分野は法学で、基本的には判例や論文、立法資料を読み込んで検討を行うというスタイルなので、実験やフィールドワークという意味での忙しさはあまりなかったです。しかし、明治時代の立法資料など国会図書館でしか閲覧できないなど、一部資料に触れる機会が限られており、開館時間内でなるべく多くの文章を読み込むのは大変でした。
また、受託研究で地方条例の運用について日本各地の自治体にインタビューした際は、北は北海道札幌市から南は沖縄県の南城市というところまですべて日帰りで行ったのは大変な思い出です。
◇ ◇
日本は先進諸国の中でも特に大学院生の待遇が劣悪な部類に入るらしい。こんなに大変な思いをして専門知識を身に付けている大学院生が、卒業後にもっと報われる社会になってほしいものだ。
なお、今回の話題を提供してくれた周回積分さんは京都大学バーチャルYouTuber同好会(@ku_vtuberlove)に所属。同会ではサークル会員がVTuberを紹介するブログ「V推しなんしょ」の執筆をしており興味深い。VTuber好きの方も、VTuberをあまり知らないという方もぜひチェックしていただきたい好コンテンツだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)