突然片目が見えなくなった、茶わんを持てなくなった…「脳卒中」の症状がでたら、自然に改善したとしても必ず受診を

 もうすぐ春分となりますが、まだまだ肌寒い日々が続いています。寒い季節には、心筋梗塞、脳卒中などの血管の病気が多発します。特にお風呂場、トイレ、早朝の台所などは寒さが厳しいためにリスクが高くなります。エアコンを上手に使い、寒暖差を和らげることが大切です。

 しかし、対策をしても高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者などの患者さんは、ハイリスクです。突然の胸痛、顔のゆがみ、食事をしたときに口から食べ物がこぼれる、会話がうまくできない、左右どちらかの手が動きにくいなどの症状があった時は、心筋梗塞、脳卒中の可能性があるので、すぐ病院に行くべきです。症状がひどければ、救急車も検討しなければいけません。

 胸痛以外の症状、いわゆる脳卒中の症状が2分から15分以内で消えることがあります。よくある症状として、突然片目が見えなくなった、茶わんを持てなくなった、はしを持てなくなった、片方の手がしびれた、うまく会話ができなかったなどです。これらを認めたときは、症状が消えたからと言って放置してはいけません。

 症状が起きた人の10~20%の人が90日以内に脳梗塞になると言われているからです。しかも、その半数の患者さんは48時間以内に脳梗塞を発症するデータがあります。これらを一過性脳虚血発作と言います。動脈硬化や不整脈などによって生じた微小血栓が脳の血管を一時的に閉塞することが原因とされます。その後、自然に再開通して改善します。

 このような症状があれば、すぐに治ったとしても必ず脳神経外科を受診して適切な治療をすることが大切です。治療は、血液を固まりにくくする薬の内服や、首の血管に高度の狭窄がある場合には手術によって狭窄を取ることもあります。もちろん、それらの原因となった基礎疾患の管理は非常に重要です。

◆谷光 利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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