吹奏楽部の卒業コンサートを支えたい 立ち上がった大阪のあるロータリークラブの心意気

 コロナ禍のため、数多くの卒業イベントが影響を受ける中、大阪市内の5つの中学校吹奏楽部などが参加する「木蘭・コスモスコンサート22」が19日に住友生命「いずみホール」で開催される。現在は感染対策をしながら最終準備に入ったところ。主催者で舞台裏を支えた大阪城東ロータリークラブ(杉野政史会長)に話を聞いた。

 平凡な中学生による普通の卒業コンサートかもしれない。おそらく、そうだろう。だが、開催するとしないのとでは大違い。彼らをサポートしようと立ち上がったのもまた日本全国どこにでもあるようなロータリークラブだった。

 「コロナ禍を生きる学生さん達に日々、頑張ってきたクラブ活動での成果を、発揮できる場所を創ってあげたい、そんな思いからこの企画は始まりました」

 来年で創立50周年を迎える大阪城東ロータリークラブの担当者(社会奉仕委員会 吉井朋子委員長)は今回の経緯をこう話す。

 「2020年からコロナ禍となり、学校生活で様々な活動の制約、制限されることになりました。中でも、クラブ活動は大幅に制限されています。学生にとっては1年我慢すれば、来年には出来るようになるよ、という言葉は通じません。1年我慢すれば、卒業してしまって、そもそも活動自体ができなくなることもありますから」

 ロータリークラブとは国際的な社会奉仕連合団体「国際ロータリー」のメンバー。会員は「ロータリアン」と呼ばれ、クラブで仲間と交流しながらアイデアを出し合い、地域貢献活動をしている。

 大阪城東ロータリアンも他の団体同様に様々な職種の仲間が集まっており、社会奉仕の一環として専門的な職業、仕事についての「出張授業」を実施してきた。今回のきっかけも実は、この流れの中で起こったものだった。

 昨年2月、大阪市立堀江中学から依頼を受け、税理士、弁護士、司法書士の3人が訪問。その後の懇談の中で吹奏楽部の指導者として広く知られる谷本卓先生から課外活動の実態を聞き、大阪城東ロータリークラブでひと肌脱ぐことになったという。

 「後日、吹奏楽のクラブ活動を見学にいった際に、目をキラキラさせながら真剣に練習している学生さんの姿を見ました。しかし、コロナ禍で多くの人に集まってもらって、たくさんの人に音楽を届けるという活動が制限されていました。そこで、私たちに何か交流の場や支援ができないか、思い続けてきたのです」

 今回の会場として思い切って用意したのが住友生命「いずみホール」だった。2016年には国内の優良ホール100選に選ばれており、大阪の音楽関係者には憧れの舞台といっていい。大阪城東ロータリーはホテルニューオオタニ大阪を本拠地にしており、いずみホールが隣接していることが決め手の一つになったという。

 「若いパワーで奏でる音楽は、人に勇気を与えてくれます。そんな吹奏楽部の学生さんにとって最高の舞台の場所として、いずみホールを選びました。いずみホールは、音楽を志すものなら、だれもが憧れる舞台のひとつ。最後にステキな舞台で演奏することができた、コロナ禍で我慢してきたことよりも、強く心に残るものを届けたい、その思いで、いずみホールで開催することを決定しました」

 出演する生徒達も「コロナ禍で、私たちの活動の成果を披露させて頂く機会が失われていた中、発表の場をつくっていただき、参加できる事に心から感謝します。未熟ですが、演奏を聴いて少しでも元気になって欲しいです」と意欲に燃えている。

 そして、吉井委員長はこうも付け加えた。

 「学生さんたちは、もしかしたら今は、いずみホールで演奏することの本当の価値は分からないかもしれません。でも、将来、音楽を続けていて、いつか、いずみホールで演奏したことの本当の価値を知っていただけるかもしれません」

 コンサート名になっているモクレンとコスモスは平成2年の「花と緑の博覧会」開催に向け、城東区が制定した「区の花」でもある。青春への心温まるエール。間もなく15歳のリアリティーを伝える舞台の幕が上がる。

◇「木蘭・コスモスコンサート」

日時=3月19日(土)11時45分開場、12時30分~16時

会場=住友生命いずみホール(大阪市中央区城見1の4の70)

出演=谷町キッズホップフィルハーモニ楽団、大産大高、大阪市立蒲生中学校、本庄中学校、喜連中学校、堀江中学校(順不同)

主催=大阪城東ロータリークラブ 06-6910-1220

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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