明治にウーバー、日清に帝国ホテル…なぜここまで”突き抜けた”コラボができるのか 話題沸騰の宝島社の付録、担当者が明かす舞台裏

 明治、日清食品、森永乳業、帝国ホテル、チャムス 、フェイラーなど、有名企業や人気ブランドとのコラボ付録を次々と発売する宝島社(本社、東京都千代田区)のブランドブック。書店やコンビニ店頭では必ずと言っていいほど目にし、Twitter上には「宝島の付録にはまってます」「またかわいいポーチを見つけてしまった」「付録につられて買っちゃった」「宝島のブランドとのコラボすごいな」などの投稿が並びます。読者を驚かせる付録は一体、誰のアイデアなのか。企業からの反応は。同社担当者に話を聞きました。

■ブランドブック第1号は2005年1月発売

 宝島社は1971年9月22日、地方自治体のコンサルティング業「株式会社ジェー・アイ・シー・シー」として設立しました。1974年6月「宝島」創刊。1976年3月「別冊宝島」創刊。1988年12月「このミステリーがすごい!」創刊。1989年9月「CUTiE」創刊。1993年4月1日「株式会社宝島社」に社名変更。その後「smart」「SPRiNG」「sweet」などを創刊。2005年1月「ブランドブック」シリーズ創刊。2010年10月には「GLOW」「リンネル」2誌を同時創刊し話題になりました。

 現在の発行点数は、月刊誌は15点、マルチメディアと呼ばれるブランドブックは年間出版点数300点(2021年)に上ります。

 ──月刊誌の付録のアイデアやコラボ企業との交渉は、社内に専属の担当者がいるのでしょうか。

  「編集担当者が行っています。雑誌付録であれば、各雑誌の編集部員が担当しており、雑誌編集の作業も進めながら毎月の付録の開発も行っています。マルチメディアについても、各商品に編集担当がいるので、ブランドへの交渉やアイテムの開発、表紙や誌面の制作などすべての工程を一人で担当しています。アイテムについては、サンプル出しを複数回行い、よりクオリティが高く、読者の方に喜んでもらえるよう工夫を凝らしています」

──ブランドブックも発行していますが、企画の重複などを避けるため社内ではどのように調整していますか。

  「マルチメディアの編集部では、1編集者=1ブランドさんで担当編集制にしています。企画会議で最初に出した人がオファーしてOKが取れたら、担当になります。雑誌も発売月などを事前に調整しているので、同時期でのかぶりは出ないようにしています」

■営業担当者の意見も重視

──付録を決める上で重視している点は。

  「ブランドさんやメーカーさんの商品の魅力を最大限に引き出したアイテムづくりができるよう尽力しています。弊社で企画・提案させていただいたアイテムは、その後ブランドさん、メーカーさんと協議を進め、あがってきた付録サンプルを元に改良を重ねていきます」

 「さらに書店やコンビニなど流通のニーズを熟知している営業担当の意見も取り入れて、多くの方に満足いただけるようなアイテムづくりをしています。これまでコラボ先はアパレルブランドが中心でしたが、最近では飲食業界やホテル業界とのコラボも実施し、コラボ先の幅を広げています。弊社のマルチメディア商品として展開したことで、実際に販路拡大につながった、新しいファン層を取り入れられたなど、ブランドさんからお声をいただくことも多く、ブランドの認知拡大・ブランドファン獲得へつなげることができていると感じます」

■メーカーからのオファーは?

──コラボした企業からはどんな声が寄せられていますか。

 「コラボ商品を全国約6万5千店舗におよぶ書店、コンビニといった出版流通で展開できることで、ブランドさんと読者とのタッチポイントを創出することができます。また、購入したお客様がSNS等でアップしていただけるので、そのPR効果の大きさにも満足いただけます。商品自体がメディアの役割を果たしてくれます」

 「冊子部分では、そのブランドさんやメーカーさんの商品をさらに知識を深められ、より愛着がわくような誌面づくりを心がけているので、既にそのブランドさんやメーカーさんの商品を購入したことがある人も、よりロイヤリティの高いファンになってくれたという部分で喜んでいただけています。また、購入したことがない人も、付録がエントリーアイテムとなり、ファンになってくれて、ファンを広められたというメリットにも喜んでいただけています」

 「コアなファンも、ライトなファンも、またそのブランドやメーカーを全く知らなったかという人も一定割合ご購入いただけるので、付録+誌面でファン拡大に貢献できるようにしています」

 担当者の話からはコラボ付録によるメリットの大きさがうかがえました。今や企業側から付録化を持ちかけられることもあるのではないでしょうか。

  「先方からお話をいただくことも増えてきています。また、一度コラボを実施するとメリットが大きいと実感してくれて、同じ会社内の他の商品や他のブランドでもやってみたいと言っていただくことも多いです」

■この春も話題の付録付き商品が続々

 3月から4月にかけての発売予定は次の通りです。

「雪見だいふくみたいなポーチ BOOK」(3月19日発売)

「Uber Eats 配達用バッグ型 BIG POUCH BOOK SPECIAL PACKAGE」(3月24日発売)

「チロルチョコ マルチポーチ Book」(3月28日発売)

「マルカワ オレンジ マーブルガム 整理上手の愛されポーチ BOOK」(4月7日発売)

「素敵なあの人 2022年5月号」PEANUTS 楽らくプッシュボトル&スポンジ2個セット(3月16日発売)

「SPRiNG 2022年5月号」ミッフィー ランチトートバッグ&巾着型保冷ポーチ(3月23日発売)

「MonoMaster 2022年5月号」ジェットスター・ジャパントランクケース型ポーチ(3月25日発売)など。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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