高齢者宅でウサギの多頭飼育崩壊 病気やケガ、感染、妊娠中など40羽を保護、親族が持ち込み繁殖

滋賀県内の民家でウサギの多頭飼育崩壊が起きたことが分かりました。2月下旬、個人の保護ボランティアたちが現場に入り、約40羽のウサギたちを保護。ボランティアによると、かまれてけがを負った子や梅毒に感染している子、目や耳が損傷している子、脱腸した子など健康なウサギはほぼゼロ・・・雌ウサギはほとんど妊娠していたそうです。そして崩壊現場は、人が息するのも辛い状況で粉塵と異臭でいっぱいだったといいます。

■年金暮らしの高齢男性宅に息子夫婦が飼えなくなったウサギを持ち込み繁殖・・・最大100羽超のときも

多頭飼育崩壊が起きた民家に住んでいたのは、年金暮らしの高齢男性。10年ほど前から男性の息子夫婦がウサギをペットショップなどで購入し、病気持ちの子や繁殖して飼えなくなった子たちを高齢男性の住む実家に持ち込むようになり、乱繁殖を繰り返していたとのこと。一時期は最大100羽を超えていたとか。

必死にお世話をしていたという高齢男性。牧草など餌を買うお金がなかったため、スーパーをはしごして売れ残りのキャベツなどをもらってきてはウサギに与えていました。しかし、ウサギたちは下痢や病気で次々と死んでしまい今は40羽ほどに減ったそうです。

現場に入った一人、個人ボランティアで滋賀県動物愛護推進員のもよままさんは保護の経緯についてこう説明します。

「きっかけは保護活動仲間からの連絡です。仲間は崩壊宅のことを知り、ウサギのお世話をしていました。息子夫婦に持ち込まないように説得しても理解してもらえない。なので、私たちボランティアが保護に乗り出すことになりました。息子夫婦は病気になったら病院に連れて行くといった当たり前のことをせず、実家である高齢男性の家に状態の悪いウサギたちを次から次へと持ってくるんです。現にレスキューの前日には膣脱(ちつだつ)のようになって陰部から出血してお腹の腫れた子を持ち込んでいました」

持ち込まれた膣脱のウサギについては、レスキューに入った個人ボランティアのウサギデザインさんが病院に連れて行きましたが、死にました。また、高齢男性の家に転がっていたウサギの遺体についてもボランティアが弔ったそうです。

■ペットの多頭飼育崩壊 保護ボランティア「私たちの力だけでは限界が・・・国や県など行政の協力が必要」

ウサギやモルモットなど小動物の多頭飼育崩壊現場で保護活動の経験があるもよままさん。崩壊が起こる背景について「犬猫と違い小動物は安価で手に入りやすいペットです。でも、ウサギの場合、繁殖力も強く病気にもなりやすい。診てくださる動物病院もまだまだ少ないんです。販売するペットショップ側も、購入者にウサギのお世話は大変であることをしっかりと説明してから売ってほしいと思います」と訴えます。

さらに、今回の崩壊現場に関しては「高齢男性は行政機関にも相談に行っていたそうですが・・・民事不介入とのことで何もしてくれなかったと嘆いていました。誰かに助けてもらいたかった、こんなふうになっている老人を世の中に広めて欲しいとも訴えられてました。ウサギを保護してもまた持ち込まれたら…私たちボランティアももう不可能です。無償ボランティアではなく、国や県など行政がちゃんと動いてもらわないと、高齢男性の生活、命も奪うことになるんじゃないかと。とにかく今は保護したウサギたちを治療し、里親に出していこうと思います」と話してくれました。

現在、保護された雌ウサギたちの出産が保護したボランティア宅で始まっているとのこと。赤ちゃんウサギを含め保護したウサギの里親を募集しています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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