外国人旅行者…アフター・コロナで戻ってくるか ポイントは「隔離期間の廃止」と「観光サービスの復活」
コロナ禍となり2年。この間、日本人が事実上海外旅行できなくなったことに対し、逆に外国人旅行者も「日本への旅行」ができなくなりました。特に日本への渡航制限は諸外国に比べて厳しいと言われることもありますが、この点について、外国人旅行者はどのように感じているのでしょうか。
そんな疑問に対し、日本語・英語のバイリンガルで東京および日本の魅力を国内外に発信するメディア『タイムアウト東京』が、英語版サイトで読者を対象に「日本への旅行」に関するアンケートを実施し、その興味深い結果を発表しました。今回はこのアンケートデータを元に、外国人旅行者から見た、コロナ禍・アフターコロナにおける「日本への渡航」観に迫ります。
■いまだ根強い人気がある日本旅行。「飲食」「観光地回り」をしたい外国人が多い
まず、「いつごろ日本に行きたいか?」に対しては58%もの外国人が「観光客への渡航制限が解除されたすぐにでも行きたい」と回答。また、「日本で一番やりたいこと」は「飲食」が40%、「観光地回り」が31%という結果になりました。
外国人にとっての日本観光熱がどれだけ継続されているかが霞んで見えるきらいもあるコロナ禍ですが、これらのデータからはいまだに根強い支持があり、特にグルメや観光名所などのニーズは依然として人気があることがうかがえます。
■一時多かった「バーチャルツアー」は、今や不人気に
また、こういった日本旅行を意識する人の間では、このコロナ禍で「準備」を行う人も少なくないようです。この点についての設問に対する回答もあります。
「日本旅行をするために、どのような準備をしているか?」の設問には、61%の外国人が「やりたいことのリサーチ」と回答しているほか、20%の人が「ウェブサイトやSNSでの旅のインスパイアをチェックしている」とのこと。
この辺、日本人に比べると能動的にも感じますが、他方、コロナ禍が始まった当初、たまに散見された「バーチャルツアー」といったものへの参加はわずか2%に過ぎませんでした。やはり「旅行」は生で体感しなければ意味をなさないことを表しているようにも思いました。
また、冒頭でも触れた「日本の渡航制限」に関する設問の興味深いデータもあります。
「日本の渡航制限に関するルールをどう思うか?」という設問に対し、「あまりにも厳しく非現実的である」と回答した外国人が67パーセントという結果になりました。一方、「日本は国を守るために正しい判断をしている」と答えた人がわずか8%という結果となり、総じて「日本の水際対策は、諸外国に比べて厳しい」と考える外国人が多いことがうかがえます。
■「日本への渡航を検討する」上でのポイントは「隔離期間廃止」と「観光面の復活」
最後に「どのような状況になれば、日本への渡航を検討するか?」の回答も見てみましょう。
50%の外国人が「日本の隔離期間が廃止されたら」と回答する一方、「制限があったとしても、国境が観光客に開かれたら」が29%という結果になりました。言い換えれば、渡航における「隔離期間が廃止されれば、すぐにでも行きたい」と考える人が半数いる一方、一部の中には「コロナ禍以前のような日本観光ができなければ意味がない」と冷静とも言える判断をしているとも考えられます。
これらのことから言えるのは、仮に「アフター・コロナ」期を迎えたとしても、観光面でのサービスが元通りになり、完全に安心できる状況でなければ、外国人旅行者が日本に再び訪れる数は限られるであろうということです。
コロナ禍で苦境を強いられている、あらゆる業種がそうであるようにある日突然「はい、今日からアフター・コロナです。今日からは自由にやって良いし、かつてのように稼げるようになりますよ!」というわけにはいきません。やはり、少しずつ緩やかに、コロナ禍以前の状態に近づいていくはずです。今回の外国人旅行者からの回答結果から見ても、やはり仮に感染者がゼロとなっても、おいそれと観光状況が改善されるわけではないように思いました。
他方、今回の回答結果から、日本旅行を熱望する外国人旅行者が依然として一定数いることも伝わってきました。外国人向けの観光業に関わる人たちは、このことに希望を持ち、まだしばらく続くコロナ禍をネバり強く耐えていく必要がありそうです。
【調査概要】
調査期間:2021年12月21日~2022年1月19日(日本への旅行)・2022年2月3日~2月14日(新型コロナと旅行)回答数:401(日本への旅行)・827(新型コロナと旅行)
(まいどなニュース特約・松田 義人)