キエフからの避難民受け入れへ準備進める京都市 そもそも姉妹都市ってナニ?その役割を考える

ロシアのウクライナ侵攻で深刻な被害が報告されているキエフだが、先日から京都市が日本唯一の姉妹都市ということで姉妹都市に注目が集まる。京都市では姉妹都市として献花台を設け、二条城などでライトアップを行い、キエフ市役所と連絡を取りながらキエフ市への募金活動を市内一円の行政施設で始めている。また、市営住宅20戸をウクライナからの避難民に対して準備、現在民間団体と協力して受け入れネットワークづくりに奔走している。

■そもそも姉妹都市ってなに?

さて、普段、あまりクローズアップされることがない姉妹都市だが、そもそも姉妹都市とは一体何なのか。姉妹都市は、敗戦から10年の時を経て長崎市とアメリカのセントポール市で結ばれたのが日本第一号だ。まさに平和の象徴として、両市の友好提携により永久の平和を祈らんとするという崇高な精神のもとに結ばれた。当時は今ほど自治体外交が盛んでなく、京都市とキエフの橋渡しはソビエトの駐日大使より京都市へ提案されたように自治体レベルというより駐日大使からの推薦といった形で提携につながっているケースも多かった。ちなみに姉妹都市の語源はSISTER CITYだが、第一号がアメリカだったためにこれを直訳したと言われている。(イギリスではTWIN CITY、中国では友好都市、ロシアでは兄弟都市など呼び方は様々)

姉妹都市の締結は極めてシンプルで、議会の承認と両首長による提携書への調印のみで、国の許可も不要(国によって異なる)とあって、各都市はこぞって姉妹都市提携を進め、ほとんどの自治体で複数の姉妹都市提携を結んでいる。私の住む街京都でも1958年のパリを皮切りにボストン、ケルン、フィレンツェ、キエフと合計9都市と姉妹都市を締結している。基本的に京都の場合は歴史都市を対象とするなど、都市格や都市の雰囲気が近いもの同士が結ぶケースが多い。

■姉妹都市を解消したケースも

一度締結すると簡単に破棄できないのも姉妹都市の特徴だ。(そもそも破棄する理由がない)とはいえ、解消した事例がないのかと言われるとそうでもない。直近でいうと、大阪市とサンフランシスコ市の姉妹都市解消が有名だ。韓国からの働きかけで街の公共スペースに従軍慰安婦像を設置したサンフランシスコ市に対し、姉妹都市の大阪市は再三にわたり抗議をしたが取り合ってもらえず、最終的に大阪市側から一方的に解消を宣言をした。

そしてもうひとつ、象徴的なのは鳥取県境港市と北朝鮮の土山市の姉妹都市だ。民間交流が長く続いていた両市の姉妹都市だが、2000年代に入り拉致問題や北朝鮮による度重なるミサイル発射を巡り両国の関係が悪化、境港市が一方的に破棄をすることで解消されたという事例がある。

一方、姉妹都市にはなったものの、普段の交流は特になく、5年に一度の周年事業以外にやることがないというのも多くの姉妹都市の課題だと言われている。今回の協力を契機に、姉妹都市だから出来ること、やるべきことを改めて整理し、姉妹都市の在り方を見直すいい機会になればいいのではないだろうか。

◆村山 祥栄(むらやま・しょうえい)前京都市会議員、大正大学客員教授。1978年京都市生まれ。専修大学在学中は松沢成文氏の秘書を務める。リクルートを経て京都市議に。2010年、京都党を発足。2020年2月の京都市長選で出馬も惜敗。現在は大正大学客員教授。

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