モロゾフ、お前だったのか…日本にバレンタイン文化を伝えたのは 国内屈指の洋菓子ブランド90年の歩みを振り返る

日本を代表する洋菓子ブランド「Morozoff(モロゾフ)」。実は「愛する人に贈り物をする」という欧米のバレンタインデーを日本に初めて紹介したのが、このモロゾフなのだという。1931年に神戸・トアロードでチョコレートショップとして誕生して以来、日本のチョコレート文化を牽引してきたモロゾフの90年にわたる歩みを振り返ってみよう。

神戸・トアロードでチョコレート、キャンディショップを経営していたフィヨドル・ドミトリー・モロゾフ氏が、神戸商工会議所に共同経営者の紹介を依頼したのがきっかけで、同会議所の常議員だった葛野友槌氏(初代社長)が経営に参加。1931年8月、「神戸モロゾフ製菓株式会社」が設立された。

モロゾフがバレンタインの風習を日本に紹介したのは、翌1932年。モロゾフの公式サイトによると、チョコレートでできたハート型の容器にファンシーチョコレートを入れた「スイートハート」と、バスケットに花束のようなチョコレートを詰めた「ブーケダムール」というバレンタインギフトをカタログに掲載したのが始まりだったそうだ。

1935年には、英字新聞「ジャパン・アドバタイザー」に“日本初”とされるバレンタインチョコレートの広告を出稿。西洋文化が花開く神戸から「愛する人にチョコレートを贈って愛を伝えましょう」というロマンティックなメッセージを掲げ、時代に彩りを添えた。以来、モロゾフは1940年2月まで毎年バレンタイン広告を出していたことが確認されている。

チョコレート文化に特化したユニークな神戸の博物館「フェリシモ チョコレート ミュージアム」では現在、「Morozoff-90周年の記憶-」と題した常設展を実施中。今ではほとんど現存していないという創業当時の貴重な木製パッケージや、レトロなレタリングやイラストが目を引く懐かしくも洗練されたパッケージに加え、有名企業やキャラクターとコラボしたチョコレートなどを見ることができる。

もちろん、日本におけるバレンタイン文化の礎を築いた広告のレプリカも展示。モロゾフがチョコレートという「食べ物」の枠を超えて、日本の文化や風習の更新にどれほど大きな役割を果たしてきたかをあらためて伝える趣向になっている。

「フェリシモ チョコレート ミュージアム」の開館時間は午前11時から午後6時。事前予約とチケット購入は公式サイトから。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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